福島第1原発事故で計画的避難区域に指定された飯舘村の肉牛畜産農家103人が廃業を決めたことが、JAが実施した意向調査で分かった。続けるには牛を一時避難させるほかなく、11日に畜産農家を対象に開かれた説明会では「村に戻れる見通しが立たず、飼育をやめた方がよいのか判断できない」と困惑する声も出た。
調査には、村内の肉牛農家228人のうち132人が回答。103人が「廃業」と答えた一方、うち50人が「また牛を飼いたい」と回答。飼い続けることを希望したのは29人だった。未回答者も多く、飼育を続けるか悩む畜産農家の姿も浮き彫りになった。
村とJAが開いた説明会には約250人が集まり、賠償などについて質問した。廃業を決めた阿部定宣さん(70)は「廃業すれば、一からやり直す気力も体力も残らないと思う」と話した。
同村では、酪農家全11戸も、乳牛の避難を断念し休業を決めている。【池田知広、角田直哉】
毎日新聞 2011年5月11日 20時07分(最終更新 5月11日 20時38分)