東日本大震災の被災地の子どもたちの支援のため、障がい児や家族の支援活動を手掛ける大城しのぶさん(27)=南城市=は、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの活動として約3週間、岩手県で支援に当たった。遊びを通して子どもたちに寄り添い、ありのままを受け止め、見守り続けた。子どもたちへの継続した支援の必要性を訴える。(赤嶺由紀子)
セーブ・ザ・チルドレンは被災県の避難所に「こどもひろば」を設置し、支援活動を行っている。
大城さんは岩手県内の一つのひろばの運営責任者として6日から18日間、支援に携わった。
子どもたちにやりたい遊びを促すと、マットで組み立てた家を自ら揺らして壊すという「津波ごっこ」「地震ごっこ」が日常的にあった。「最初は正直驚いたが、子どもたちの表現の一つと受け止めた」
いす取りゲームの一種のフルーツバスケットでは、鬼役の子の掛け声に「家がなくなった人」「パパ、ママが死んじゃった人」という言葉も飛び交った。
そんなときは、さりげなく話題を切り替えるなど工夫した。
暴力的になり暴言を吐く子も多かった。過度にスキンシップを求めてくる小学校高学年の子も。「日ごろ大人に言えない気持ちを、表現している」と感じた。
印象に残っているのは、「津波は誰のせい?」と聞かれたことだ。大城さんは「雨が強い日もあれば、風が強い日もある。大きな地震で津波がきた。誰のせいでもないよ」と答えた。子どもたちと正面から向き合い、事実を伝えることを心掛けたという。
「子どもたちは周囲の大人たちに遠慮して、我慢しなくちゃいけないという思いが強く、欲求不満になっているのが分かった。子どもたちには継続的な支援が必要」と訴える。
一方、支援者のケアの必要性も実感。がれきの山を毎日目にすると「精神的にきつかった」。実際食事が取れないなど不調を訴えるスタッフもいた。支援者同士のケアや連携、情報交換・共有の必要性を訴える。
大城さんは今、子ども同士の支援ができないか、沖縄から発信できる企画を思案中だ。「子どもたちのグリーフ(悲嘆)に寄り添えた18日間だった。今後も支援を続けたい」