阪神は10日の広島戦(ほっともっと神戸)が雨天中止。巨人‐横浜(4)戦で横浜が勝利し、07年5月9日以来の単独最下位に転落した。チームは3連敗中と厳しい戦いが続く中、能見篤史投手(31)が、11日の広島戦(甲子園)にプロ初となるスライド先発。「とにかく、勝たないと意味がないですからね」というエースがチームを窮地から救ってみせる。
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まさかの4年ぶり最下位転落、無人のほっと神戸にいつまでも涙雨が降り続けた。今季最大の窮地。こうなればこの男に託すしかない。能見が初のスライド先発で、仕切り直しの一戦へ向かう。
ギリギリまで雨雲の通過を待ったが、16時40分に中止決定。能見の先発が流れた。だが、虎のエースは天を恨むことはなかった。
「天気には勝てませんからね。仕方ないですよ」。ジメジメとした五月雨を恨むでもなく、スッキリとした表情で帰路に就いた。きょう11日の広島戦では、プロ初のスライド登板に臨む。「気持ちの切り替え?まあ、まあね」。断ち切っておきたい連敗、そしてチームの低迷。負の連鎖を止める。それしか頭にない。
今季、雨天中止は2度で、翌日の試合ではいずれも敗れている。加えてチームは3連敗中と苦しい状況が続く。ただ、先発は開幕から22試合、6人がすべて5回以上を投げ、セ・リーグで唯一メンバー変更がなく、役割を果たしている。「まだ始まったばかりですからね」。低迷に騒ぐ周囲の声を遮断するように、あくまで平常心を強調した。
ここまでチームの火曜日成績は、3勝1敗で勝率・750。イコール能見の登板戦績で、久保が投げる金曜日と並んで最高勝率日だった。
4月19日の巨人戦で、球団タイ記録となる7者連続奪三振を記録。5月3日の同戦では今季のチーム初完投勝利で、小林繁に並ぶ巨人戦8連勝を成し遂げた。「今年は苦労しますよ。なかなか投げ方がしっくりこない」。開幕前、左足にタメができないことで、直球に納得ができなかった。だが、その中でも2勝1敗で防御率3・72。状態が上がってくれば、さらなる上積みが期待できる。
「とにかく勝たないと意味がないので。まずはゼロに抑えることを考えて投げたいと思います」
広島戦は今季、2試合の登板で1勝1敗。前回4月26日の対戦は、6回1/3を6失点と打ち込まれた。09年から続いた自身の連勝を「12」で止められた相手。記録に興味は示さないが、個人としてもチームとしても、悪いイメージは消しておきたい。当日はまたも雨予報だが、今度こそエースがすべてを晴らしてみせる。
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