オジサン珍道中 ~ベネチア編~
フィレンツェから再びユーロスターに乗り、『Zip&Candy』のロケハン以来、実に一年半ぶりのベネチアへ。
ステキすぎる街並みに加え、これでもかというほどの快晴が我々を待ち構えておりました。さすがベネチア、“二度目”というハードルを軽々飛び越えてきます。
サンマルコ広場に向け、迷路のような路地をテクテクと進みます。「次回作の絵本のロケハン」という理由で吉本興業様よりスケジュールを切っていただいている手前、シャッターを切り続ける私。
この先は、右か左か‥
歩き疲れたら、ゴンドラに乗ってみたり‥
狭い水路もスイスイと進んでいきます。ちなみに嘘か真か、船頭さん曰く、ゴンドラが込み合っている写真のバックに写っているのがマルコ・ポーロの家だそうです。船頭さんに喜んでもらうため、「本当ですかー!?」とテンションを上げておきました。
無事にサンマルコ広場へ到着します。帰国後、撮影した写真を見返してみると、このようにほとんどの場面にタコ男が写り込んでおりました。憤りを感じずにはいられません。
とりあえず広場に辿りついたものの、タコ男とヘタレンチーノの二人には、これといった目的があったわけではございません。鐘楼に上ったり、美術館をのぞいたり、探せば何かとあるのでしょうが、我々のベネチア遊びは、景色を見ながら酒を呑みながら、ただブラブラと街を練り歩くだけで満足なのです。それがしたくて、再びこの街にやってきたのでした。
そして夜はまたまた酒盛り。翌朝はまたまた誰もいない街をカメラ片手にジョギング。
陽が昇ると部屋に戻り、またまた裸のホモとバッタリ。旅の間はずっとこの繰り返しでありました。はたして何かを吸収したのでしょうか?
「自分探し」という言葉があります。旅に出る理由として頻繁に用いられる言葉ですね。
僕の経験では、自分のカタチは身近な他人が教えてくれることが多いように思います。それは例えば、競争に負けた自分の運命を背負う瞬間だったり、嫌いな人間の優れている部分を認めた瞬間だったり‥‥、日々の生活から離れてしまっては見えていなかった自分が多々あります。
いっぱい負けて、たくさんの理不尽も味わって、それでもドスコイ踏ん張って、文句を殺し、今の自分が置かれている環境を一歩でも前進させる努力をし、ココでの借りはキチンとココで返す。旅は、駆け込み寺として位置付けるのではなく、遊びとした方がやっぱり楽しいです。
なにより、人がモノを吸収するときは楽しい時です。ですから、「次回作の絵本のロケハン」というのは結果論で、出発前の理由としては大ウソです。ごめんね、吉本興業。せっかくのイタリア、仕事で行ってたまるもんですか。
遊びに行ったんですよ。また、よろしく。