経済

文字サイズ変更

東電:公的管理を受諾 賠償負担、上限設けず

東京電力本店=東京都千代田区内幸町で、内田剛樹撮影
東京電力本店=東京都千代田区内幸町で、内田剛樹撮影

 東京電力は11日午前に開いた臨時取締役会で、政府から福島第1原発事故の賠償支援の条件として提示されたリストラ強化など6項目の「確認事項」を受け入れることを決めた。6条件には東電の賠償負担の総額に上限を設けないことや、政府が官邸に設ける第三者委員会を通じて東電の経営を監視することなどが盛り込まれており、東電は事実上の「公的管理」下に置かれることになる。

 政府は東電の条件受諾を受けて、関係閣僚会議などを開き、賠償支援の枠組み決定を急ぐ。その上で、東電支援の母体となる国と電力業界の出資による「原発賠償機構(仮称)」を新設することなどを盛り込んだ特別法を今国会に提出する方針だ。

 賠償支援を巡って、政府は海江田万里経済産業相が10日、東電の清水正孝社長に6条件を提示。東電は11日午前の取締役会で協議したが、原発事故の被害者への賠償額が数兆円単位の巨額にのぼると見込まれることも考慮。「国の支援無しでは、賠償に対応しながら、首都圏への電力の安定供給を続けることは困難」として、6条件の受け入れを決め、海江田経産相に対し、清水社長名で「『確認事項』について、了承する」と文書で回答した。

 6条件に盛り込まれたリストラの徹底について、東電は企業年金の給付削減や人員整理、5000億~8000億円の資産売却などを行う方針。また、政府は金利減免なども含めた融資金融機関の協力も求めており、東電は今後、対応を検討する。また、東電の株主については配当を長期間行わないことで一定の責任を求める方向。一方、東電が発行した社債については、市場の混乱を回避する観点から保護する。

 具体的な支援策では、新設する原発賠償機構が電力会社からの負担金や、政府が付与するいつでも換金可能な交付国債を財源に、東電に対して融資や優先株の引き受けを行い、賠償の資金繰りを支援する。東電は機構から受けた資金について、設備投資分を除いた年間利益の中から長期間かけて返済する。政府は支援にあたって、東電にリストラの徹底を求め、電気代値上げなど利用者の負担を抑えたい意向だ。【立山清也】

毎日新聞 2011年5月11日 12時58分(最終更新 5月11日 13時28分)

検索:
 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画