3年前、千葉県の房総半島の沖合で、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船が衝突して、漁船の親子2人が死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われたイージス艦の当時の当直責任者2人に、横浜地方裁判所は無罪を言い渡しました。
3年前の平成20年2月、千葉県の房総半島の沖合で、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と、千葉県勝浦市の漁船「清徳丸」が衝突して、清徳丸に乗っていた吉清治夫さん(当時58歳)と哲大さん(当時23歳)親子が行方不明となり、その後、死亡したと認定されました。いずれも当時の当直責任者だった、海上自衛隊の3等海佐の長岩友久被告(37)と、後瀉桂太郎被告(38)の2人が、業務上過失致死などの罪に問われました。これまでの裁判で、検察は、事故の直前まで当直責任者だった後瀉3佐が、漁船が停止していると誤った引き継ぎをし、交代した長岩3佐も十分な監視を行わずに、事故につながったと主張しました。これに対して、弁護側は「漁船が直前に進路を変更したことが事故の原因だった」として、2人の無罪を主張していました。11日の判決で、横浜地方裁判所の秋山敬裁判長は、冒頭に2人に対して無罪を言い渡しました。このあと裁判長は「検察が示した漁船の航跡は測定方法に問題があり、正確さを欠いている」と指摘しました。法廷では言い渡しが続いており、無罪判決の詳しい理由が示されることになっています。