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福島第1原発:「賠償上限なし」経産相が要求 東電支援

 海江田万里経済産業相は10日、東京電力本店を訪れ、清水正孝社長に対し、東電の損害賠償を政府が支援する前提として、損害賠償額に事前に上限を設けないことや、東電の一段のリストラなど6項目の確認事項を求めた。東電は企業年金の給付削減などの追加リストラを検討する考えだ。

 確認事項は、賠償額について、事前に上限を設けないよう要請。賠償負担を一義的に東電に負わせ、最終的に国の財政負担が生じるのを防ぐ。さらに、賠償に対応するため「最大限の経営合理化と経費削減を行う」ことを求めた。リストラの進捗(しんちょく)や、賠償財源となる東電の資産評価については、政府が設ける第三者委員会による財務調査に応じることを掲げている。

 また、電力の安定供給を確保するための資金確保も義務付けており、設備投資などの資金は賠償金や経営合理化とは切り離して確保することを認めた。

 一方、「金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行う」との条件を明記した。政府内では、大手銀などに東電向け融資の金利減免で貸手責任を問うべきだとの主張もあり、東電に検討させる。ただ、銀行の反発は強く、金利減免などが実施されれば追加融資に応じない構え。年金の給付カットにはOBらの抵抗も予想され、東電は厳しい判断を迫られる。

 海江田経産相は記者団に対し「売却や証券化などで、資産を身軽にする作業をしてほしい」と述べた。東電は11日午前にも受け入れの是非を決める。【和田憲二】

毎日新聞 2011年5月10日 22時13分(最終更新 5月11日 0時58分)

 

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