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<東日本大震災>遺児捜しに苦慮 あしなが育英会

毎日新聞 5月11日(水)1時26分配信

 東日本大震災で親を亡くした震災遺児を支援しようと返済不要の特別一時金を創設した「あしなが育英会」が、震災遺児捜しに苦慮している。津波で街ごと流失した地域が広範囲にわたり、震災遺児の足跡をたどりにくいという。東北地方以外の親類宅に身を寄せる遺児も出てきており、同会は物心共に支援を受けられないままでいる震災遺児がいまだ多くいるのではないかと懸念している。【宇多川はるか】

 特別一時金は、保護者が死亡・行方不明になったり重度の障害を負った、0歳児から大学院生を対象に10万〜40万円を支払う。同会は4月、6日間かけて同会職員や奨学金を受ける遺児の大学生ら約30人で宮城、岩手両県内の避難所や学校を訪問。特別一時金について説明会を行ったり、ポスターを張ったりしながら周知してきた。

 同会によると、特別一時金の申請書の請求は10日までに704件に上り、既に407人から申請を受けている。だが、同会東北事務所の林田吉司所長は「絶対にもっとたくさんの震災遺児たちがいる」と語気を強める。

 あしなが育英会の調査によると、6437人が死亡した阪神大震災では、震災遺児が死者数の約1割に当たる573人になったという。林田所長は「東日本大震災では高齢者の死亡者が多かったことなどを考慮すると、震災遺児は2000人以上という試算になる。やはり1000〜2000人はいると思う」とみる。

 阪神大震災後、同会は新聞記事の死亡記事の切り抜きを頼りに、一家の消息をたどりながら遺児を捜した。「阪神の時は家屋や電柱が倒れていてもその場にあったので、町の様子が分かった。近くの避難所に行けば家族の消息を聞ける人がいた」と林田所長は振り返る。ところが、今回は家屋や店舗など一切が流失した地域が多い。避難先も広範囲で、手掛かりをつかむことが難しくなっているという。

 さらに、林田所長らと避難所を回った東北福祉大4年の山下高文さん(21)は「中国、四国地方など県外の親類宅を頼って地元を離れたという遺児の話を聞いた」と話す。同会は「東北を離れてしまった遺児たちにどう制度を周知していけばいいのか……」と頭を悩ませている。

   ◇  ◇

 特別一時金についての問い合わせは同会(0120・77・8565)。

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最終更新:5月11日(水)9時8分

毎日新聞

 

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