記者クラブの記者たちが追及しなかった
“注入した冷却水の行方”
東京電力では24時間体制で記者会見が開かれている。記者クラブの記者たちはいつものように勝手に席を陣取って、大スポンサーである東京電力の機嫌を損ねないような質問に終始している。一部の良心的な記者を除けばほとんどがそうだ。
代わって東電の隠蔽しようとする情報を訊き出してきたのはフリーランスのジャーナリストたちである。同じ電気代を支払っているにもかかわらず、椅子すら与えられず、地べたに座りながらも記者会見に参加してきた。
たとえば筆者だけでも、プルトニウム、放射能測定値、社長の説明責任について明らかにしてきた。田中龍作氏は勝俣東電会長と大手メディアの接待旅行を暴露して追及を行なった。
何より、今回の海洋汚染については、日隅一雄氏と木野龍逸氏の両氏による再三の追及によって、東電がその事実を渋々認めたことが大きい。
仮に、こうしたフリージャーナリストがいなかったら、事実はほとんど何も明らかになっていなかっただろう。
それでも海洋汚染については3月23日から事実の追求が始まったにもかかわらず、事実を認めたのは4月2日になってからのことだった。万事がこの状況である。
2号機の原子炉建屋からタービン建屋に流れ込んだ汚染水が、取水トレンチや配管ダクトを通って、海面につながるピット(立て坑)に流れ込んだのは地震直後のはずである。
少なくとも24日の記者会見では、日隅氏がこの点を問い質し、海洋汚染につながる危険性を指摘している。また同日、木野氏も汚染水が格納容器の中に溜まっており、外に漏れる危険性があることを武藤副社長に質問している。