2011年5月11日7時30分
福島第一原発事故で放射能に汚染された地域は、チェルノブイリ原発事故の強制移住対象レベルだけで、約800平方キロに上ることが分かった。東京都の面積の約4割、琵琶湖の約1.2倍に相当する。原子力安全委員会は、避難地域の見直しや住民の帰宅に役立てるため、観測を重点化する地域を設けるなど監視を強化する方針だ。
汚染面積は、日米が共同で作製した汚染地図から分かった。汚染地図は、文部科学省と米エネルギー省が4月に約150〜700メートル上空から、土壌など地表1〜2キロ四方で放射性物質の蓄積量を測って作った。
この地図によると、半減期が約30年のセシウム137の蓄積濃度が1平方メートルあたり60万ベクレル以上に汚染された地域は約800平方キロメートルに及んでいた。この地域はほぼ、警戒区域や計画的避難区域と重なる。チェルノブイリ原発事故で、強制移住の対象になった55.5万ベクレル以上の地域の約10分の1にあたる。
原子力安全委員会は今後、この汚染地図に地上の実測値を組み合わせて、重点的に監視すべき地点を洗い出す。原発事故が収束した後の住民の帰宅、生活の再建に備えるためだ。
福島第一原発の事故では、37万〜63万テラベクレル(テラは1兆倍)の放射性物質が放出されたと、原子力安全・保安院と原子力安全委員会が推計した。大爆発によって原子炉が壊れたチェルノブイリ原発事故の1割ほどに相当する。
海や山への汚染も深刻だ。東京電力によると、高濃度汚染水が4月1日〜6日に520トン流出、放射能は4700テラベクレルに上る。現在も40キロ沖合でセシウムやヨウ素が検出される。タケノコやシイタケ、山菜からは基準を超えるセシウムが検出されている。(佐藤久恵、浅井文和)