2011年5月9日16時3分
中部電力が、今夏に使う予定がなかった停止中の火力発電所について、再稼働の準備を進めていることが分かった。菅直人首相の要請を受け入れ、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)を全炉停止した場合に備え、火力への従業員配置や、必要な燃料確保について計画を作りはじめた。
中部電幹部によると、武豊火力発電所(愛知県武豊町)の2号機(出力37万5千キロワット)と、西名古屋火力発電所(同県飛島村)の1、2号機(計44万キロワット)が対象。いずれも、老朽化して発電効率が悪いため、同社の今年度の「電力供給計画」に織り込まれておらず、停止中だ。
電力需要がピークを迎える7月下旬から8月末にかけて動かす。全炉停止で減る供給力を少しでも増やしたい考えだ。運転要員として、火力発電所の管理部門「火力センター」(名古屋市港区)から従業員を派遣する計画だ。
中部電は今週中にも2回目の臨時取締役会を開き、全炉停止を最終判断する。首相の要請は「命令に近い重みがある」(幹部)との認識で、受け入れる方向で準備を急いでいる。