小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人の公判が10日、東京地裁(登石郁朗裁判長)であり、中堅ゼネコン「水谷建設」の取引先の土木工事会社社長が証人として出廷した。検察側は水谷建設が04~05年の2回に分けて小沢事務所に計1億円を提供したと主張しているが、社長は2回目の現金受け渡しの状況を具体的に証言した。
社長の証言によると、05年4月に川村尚・水谷建設前社長と東京・赤坂のホテルに到着した際、川村前社長に「これを渡すんや」と紙袋を見せられた。ホテル喫茶店で元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)と面談し、川村前社長は足元の紙袋を滑らすように大久保被告の方へ移した。「ありがとうございます」と紙袋を受け取った大久保被告を見送り、川村前社長は「税金みたいなもんや」と話した。社長は「お金を渡したんだと思った」と振り返った。
4月27日の公判に出廷した川村前社長は、胆沢ダム(岩手県奥州市)の関連工事を受注するため、04年10月に元秘書の衆院議員、石川知裕被告(37)に5000万円、05年4月に残り5000万円を大久保被告に渡したと証言した。大久保、石川両被告は授受を強く否定している。
川村前社長の証言を補強した社長に対し、弁護側は「東京地検の聴取を受けた当初は記憶があいまいだったのではないか」と信用性をただした。社長は「ホテル名などを挙げながら(検事に)記憶喚起されるうちに思い出した」と応じた。【野口由紀】
毎日新聞 2011年5月10日 20時12分