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【社会】

謎深まる4号機爆発 水素、原因じゃない?

2011年5月10日 夕刊

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 福島第一原発4号機の原子炉建屋が大破した原因をめぐり、謎が深まっている。建屋内プールの使用済み核燃料が損傷し水素が発生したと考えられてきたが、水中カメラで調べても燃料に損傷は見あたらない。地下で接する3号機から水素が流入した説も出てきたが、説得力に欠ける。専門家の間でも「原因は分からないかも」との声が出始めた。

 大震災当時、定期検査中で、炉内の燃料は全てプールに移されていた4号機。1〜3号機の対応に追われ、忘れられがちだったが、三月十六日撮影の衛星写真で大破していたことが分かった。

 柱を残しほとんど壁が吹き飛んでいることから、東京電力は水素爆発が起きたと判断。計千五百三十五体の燃料を保管していることから、注水冷却に追われることになった。

 だが、四月二十八日と今月七日にプール内を水中撮影すると、がれきなどは入っているが、いずれも予想以上にきれいな状態。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は八日、「燃料は比較的健全と思っている」と述べた。燃料が無事なのはいいことだが、大破の原因究明は振り出しに戻った。

 次に浮上したのが、隣の3号機から水素が流れ込んで爆発したとの説。先に3号機は大爆発を起こし建屋は無残な姿になっており、水素が発生したのは明らか。3、4号機は地下の配管などでつながっているため、流入説が出た。ただ、経済産業省原子力安全・保安院の担当者は「空気より軽い水素が下に回り込むものなのか疑問がある」と否定的だ。

 水素以外の爆発説もある。点検時に持ち込まれた有機溶剤などが原因という。ただ、持ち込み量は「地震前日の作業終了時で石油類二・六リットルとスプレー缶三十三本」(東電)。民間シンクタンクの原子力コンサルタント佐藤暁氏は「壁一枚飛ばすどころか、人がやけどする程度でしかない」という。

 テレビカメラで爆発が撮影された1、3号機と違い、4号機は爆発の目撃者もいない。原子力安全委員会の関係者は「どの仮説も検討するとあり得ないという結論になる。いつ壊れたかすら特定できていない」と途方に暮れる。

 

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