電力難受け、海外脱出を検討する日本企業も(上)

浜岡原発の稼働中断

 中部電力は9日に菅直人首相の要請を受け入れ、静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所の稼働を中断することを決めた。この結果、トヨタ自動車の本社や工場が密集する愛知県など、中部地方で夏の電力需要に問題が生じる可能性が高まっている。今年3月の東日本大震災による福島第一原発事故の影響で、すでに関東地方では電力難に苦しんでいるが、今回の浜岡原発の稼働中断により、これまで電力に比較的余裕があるとされた中部地方も同じような状況になるとみられる。電力難は今後3年から4年は続く見込みで、結果的に日本の各メーカーによる海外移転が増え、最終的に「電力難不況」につながる可能性も指摘されている。

自動車産業の中心地、愛知県でも電力難の可能性

 浜岡原発を管理する中部電力は、愛知県、岐阜県、三重県などに電力を供給している。中部電力の電力生産能力は2999万キロワットで、当初は今年夏の電力需要に比べ439万キロワットほど余裕があった。しかし浜岡原発(361万7000キロワット)が稼働を中断すれば、電力の余裕は77万キロワットにまで大幅に落ち込む。夏に気温が1度上昇するたびに、冷房需要が80万キロワット増えることから、今夏は中部地方でも厳しい電力難が避けられない見通しだ。

 そのため中部電力管内で電力需要の40%を占めるトヨタ自動車など各メーカーは、非常に緊張している。日本国内にあるトヨタの17工場のうち、9工場が中部電力から電力の供給を受けている。そのため、電力難による首都圏や東北地方での生産縮小を挽回する計画も、見直しが迫られる。中部電力はこれまで閉鎖されていた知多火力発電所などの遊休設備(184万キロワット)を再稼働する予定だが、整備のために必要な期間などを考慮すれば、夏の電力需要のピーク時に電力需要を賄えるかは今のところ不透明だ。

 中部電力の関係者は「首相の要請は事実上の命令のため、稼働を中断しないわけにはいかない」「今後2-3年間に大型の津波に備えるための防潮堤建設工事を完了し、再稼働を目指したい」と述べた。中部電力は電力の周波数が同じ関西地方から電力の融通を受けるなど、非常対策を取りまとめた上で、近く原発の稼働を中断する予定だ。

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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