2年ぶり「APMT6」! Exonemo、伊藤直樹、クワクボリョウタらが語るデザイン&アートカンファレンスをレポート!!
2011.05.09.Mon
Category : WS Pickup

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デザインポータルサイトCBCNET主催のデザイン&アートカンファレンス「APMT」。2年ぶりとなった今年の「APMT6」は、4月30日(土)に昼のカンファレンスと夜のオールナイトイベントを同日開催という形式で行われた。昼のカンファレンスは、渋谷区文化総合センター大和田のさくらホールにて、第一部「インターネットリアリティ」、第二部「コマーシャルとアート」、第三部「メディア芸術」のテーマ別三部構成で開催。各テーマには様々なデザイナーやアーティスト、クリエイターをスピーカーが登壇し、プレゼンテーションやパフォーマンスを披露した。

■ ユーモア溢れる作風のExonemoはライブパフォーマンスも!!
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Exonemo
photo by Shinpei Yamamori[GB inc.]
CBCNET栗田洋介氏のオープニングスピーチの後、思い出横丁情報科学芸術アカデミーの谷口暁彦氏と渡邉朋也氏のお二人による軽妙な司会進行とともに幕を開けた「APMT6」。第一部の「インターネットリアリティ」に登場した千房けん氏と赤岩やえ氏によるアートユニットExonemo(エキソニモ)のお二人は、彼らがこれまで手掛けてきたインスタレーションなどを次々に紹介。“Web上にあるものはどれでも着れる”という新しい意識を根ざすために制作したWearable Webは、ブラウザに表示されているWebサイトの画像を全てTシャツにしてしまうWebサービス。どのTシャツもその場で簡単に購入可能であり、今までWeb上にあった“保存する、Tweetする、シェアする”などに加えて“着る”という新しい可能性をプラスしてしまおうという試みだ。最後には、Macのマウスの動きをプログラムしてFinder上でライブ演奏を行うパフォーマンスも披露してくれた。

■ 独立準備中! 伊藤直樹氏が語る「コマーシャルとアート」
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伊藤直樹氏
photo by Shinpei Yamamori[GB inc.]
第二部「コマーシャルとアート」には、クリエイティブ・ディレクター伊藤直樹氏が登場。先日までWieden+Kennedy TOKYOに勤めていた伊藤氏だが、現在は独立に向けて準備の真っ最中だという。プレゼンテーションでは、Wieden+Kennedy時代に手掛けた「Googleで、もっと。」や「NIKE MUSIC SHOE」などを例に挙げつつ、“プラットフォームとストーリーテリングの融合”をテーマにコマーシャルとアートの関係性を過去・現在・未来に渡って多角的に分析。これまでのような“コマーシャル=お金、押し付けがましい”といったイメージから脱却し、デザインやコマーシャルの概念を押し広げていくためにも、仕組み(=プラットフォーム)の創造と、それを形付ける文脈(=ストーリーテリング)を融合させていく重要性について語った。また、日本人の絵文字文化やTwitter活用、「もしドラ」などを例に「日本は短縮・凝縮していく文化で、それが世界一得意。日本人は素晴らしい。それを自覚的に活かしていくべき」と、この先の日本が強みとしていくべき要素について述べて、プレゼンテーションを締めくくった。「(独立をして)一緒にやる人も見つけて、会社名も決まりましたので、もうすぐお知らせ出来るかと思います。一人ではなく、結構大々的にやろうと思っております」と言う伊藤氏の次の企みへ大いに期待が持てる内容となった。

■ 自身の活動を振り返りつつ、創作姿勢を語ったクワクボリョウタ氏
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クワクボリョウタ氏
photo by Shinpei Yamamori[GB inc.]
そして、第三部「メディアと芸術」では、巨大な音響彫刻作品「10番目の感傷(点・線・面)」で第14回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞に輝いたクワクボリョウタ氏が、学生時代の作品を含めてアーティスト活動を振り返りながら各作品についてクロニカルに解説。「自分はエッセイストに近いかもしれない」「思いついたら、そのまま自分で作ってみる」「自分との共通点とそうでない点をあぶりだす」との言葉からは、強い芸術性を志すでも、広く大衆性を意識するでもなく、シンプルながらもオリジナリティ溢れる作品を生み出すクワクボ氏の創作姿勢が垣間見えた。

■ APMTがアキバのステージに!? でんぱ組.Incのステージや、落語の披露も!
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でんぱ組.Incのパフォーマンス。スクリーンの映像とLED照明はSemitransparent Designがリアルタイムで演出した。
photo by Shinpei Yamamori[GB inc.]
また、カンファレンスには「APMT」的に異色ともいえるライブパフォーマンスも登場。第一部「インターネットリアリティ」のトリを務めたSemitransparent Designは、登壇するや否や秋葉原を中心に活動するアイドルグループ「でんぱ組.Inc」を呼び込むと、そのまま彼女たちのステージに突入! 超絶キュートな歌と踊りで会場を席巻するでんぱ組.Incのみならず、“ディアメン”と呼ばれる彼女たちのファンが最前列でオタ芸とコール&レスポンスを繰り広げる。「APMT」会場が一瞬にしてアキバムードに様変わりした瞬間だった。なお、Semitransparent Designはスクリーンの映像とLED照明をMacでリアルタイムに操っていたそうだ。一見すると異色の空間と時間に思えたライブだが、メディア(二次元)的な彼女たちがリアルでパフォーマンスを行い、それがTwitterをはじめとしたソーシャル・メディアを介して拡散・融合され、またリアルへと広がっていく。「インターネットリアリティ」のテーマに極めて忠実に沿った、萌え上がる時間となった。

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長谷川踏太氏作のコンテンポラリー落語を披露した立川志の吉氏。
photo by Shinpei Yamamori[GB inc.]
このほか、第二部と第三部の間には、TOMATO所属のクリエイター長谷川踏太氏(W+K TOKYO所属)作による「コンテンポラリー落語」が行われた。落語立川流の立川志の吉氏が「レディーメイド」「MJこわい」の演目を披露。両氏の対談から時事ネタを絡めた小噺、そして演目本編まで、会場は絶えず笑いに包まれた。

約8時間という長丁場ながらも、個性的な顔ぶれが揃ったスピーカーのプレゼンテーションに終始刺激を受けっぱなしのカンファレンス。当日の模様は、Twitterのハッシュタグ「#apmtjp」から検索してみてほしい。
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