通常、ビジネスにおいてはコモディティ化を嫌い、他社との差異化を狙うのがセオリーだが、ネットにおいてはいかにして日常的に利用されるかがポイントであり、日頃から当たり前のように使われるコモディティを目指す戦略がありえるのではないか、というアイデアを、生煮えながら2008年に上のブログで書きました。
via denkiami.bloggers-network283.com
日本では「検索サイト」=「ポータルサイト」の図式が高確率で成り立ちます。元々はISPのサイトがその役割を持っており、当時は各社自前のサーチエンジンを持っていましたが、情報の肥大化に伴いアウトソーシングするのが普通になっていきます。
大雑把な歴史は上記の通りなのですが、細かく見ればISPではないポータルサイトも多数あります。代表的なのはYahoo!やgooやinfoseekなどです。逆にシンプルな検索サイトとして代表的なのはGoogleやBaiduなどです。その昔もシンプルな検索サイトの方が、検索精度では勝ると考えられていました。
よって、ヘビーユーザはAltavistaやAlltheWebのような検索サイトを好み、ライトユーザはYahoo!やgooのようなポータルサイトを好む傾向にありました。
改めて日本で割と著名なそれらサイトの変遷を簡単に紹介します。
Altavista
2003年にOvertureに買収される。
AlltheWeb
2003年にOvertureに買収される。
Overture
2004年にYahoo!に買収される。
Inktomi
2002年にYahoo!に買収される。
#Web検索の王者はAltavistaからInktomi、そしてGoogleと変遷する。
Yahoo!
2004年にInktomiをベースにAltavista,AlltheWebの利点を取り込んだYSTをリリース。
今後、米Yahoo!はBingを利用し、日Yahoo!はGoogleを利用する。
Bing
1998年に「MSNサーチ」立ち上げ(エンジンはInktomi)。
1999年にInktomiとLooksmart併用に切り替え。
2006年にMS製エンジンの「Windows Liveサーチ」スタート。
2009年にBingブランドへ変更。
Lycos
2003年に日本法人は楽天に買収される。
2004年に米国法人はDaumに買収される。
Infoseek
2000年に日本法人は楽天に買収される。
検索エンジンはInktomi→Google→YSTと変遷している。
1998年に米国法人はディズニーに買収される。
#なお、Infoseekの主要エンジニアLi YanhongはBaiduへ移籍している。
Excite
2002年にGoogleと提携し、独自エンジン開発は終焉。その後YSTへ乗り換える。
freshEYE
2006年に運営会社「ニューズウォッチ」はYahoo! Japanの連結子会社となる。
上記タイミングでGoogleからYSTへ乗り換える。
goo
1997年にInktomiとNTT研究所のInfoBeeを元にサービス開始。
2003年にGoogleと提携し、InktomiからGoogleへ乗り換える。
2001年に日本法人設立。
Baidu
2006年に日本法人設立。
以上のように、検索サイト、ポータルサイトは数多くあれど、使われているエンジンはそれほど多くなく、大半はGoogleかYSTを利用しています。改めて整理すると、
Google派閥Google、goo、OCN、BIGLOBE
YST派閥Yahoo!(近々日本はGoogle派閥入り)、Infoseek、Excite、freshEYE、@nifty、AllAbout
それぞれ独自Bing、Baidu、NAVER
となり、「そんなに種類が多くはない」というのがよく分かります。
今後注目するべきは、Yahoo! Japan以外のYST派閥がどうするかです。
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