東京電力福島第一原子力発電所の敷地で、カルシウムと似た性質で、骨に蓄積するおそれのある放射性ストロンチウムが、事故の前のおよそ130倍の濃度で検出されたことについて、細野総理大臣補佐官は「過去のデータも含めて飛散の状況を調べたい」と述べ、調査を強化する必要があるという認識を示しました。
東京電力が福島第一原発の敷地で先月18日に採取した土を分析した結果、放射性のストロンチウム90が、事故の前に福島県で測定された値のおよそ130倍の濃度で検出されました。これについて、政府と東京電力で作る統合対策本部の事務局長を務める細野総理大臣補佐官は、記者会見で、「放射性ストロンチウムは、骨に付着すると問題のある物質で、詳しい調査を行う必要がある。過去のデータも含めて、飛散の状況を調べたい」と述べ、調査を強化する必要があるという認識を示しました。放射性のストロンチウムは、カルシウムと似た性質で、吸い込むと骨に蓄積し、がんを引き起こすおそれがあるとされ、原発から30キロ以上離れた場所で3月に採取した土と植物からも、ごく微量ながら検出されています。ほかの放射性物質と見分けがつきにくく、調査に時間と人手がかかるため、これまで広い範囲での定期的な調査は行われてきませんでした。文部科学省では、今後、具体的な調査の時期や方法について検討することにしています。