「大相撲技量審査場所初日」(8日、両国国技館)
相撲ファンは温かかった。大相撲の八百長問題が完全解決しないために開催された「技量審査場所」で、客席から放駒理事長(63)=元大関魁傑=や横綱白鵬には激励や声援、拍手ばかりが飛んだ。今年1月の初場所以来の再開場所で、ひとまず無事に初日を乗り切った理事長は安どの表情をみせた。支度部屋に親方を配置するなど、八百長防止策を講じた監察委員会も、この日は疑わしい相撲はなしと判断した。
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初日恒例のあいさつで土俵に立った理事長は、ひたすら八百長問題をわび、頭を下げた。観客の答えは「頑張れ!!」「理事長!!」という割れんばかりの大声援だった。
「何はともあれ場所が開けたということと、無事に初日が終わってホッとしている。お客さんがどういうヤジを飛ばすかは意識していなかった。仮にヤジが飛んでも受け止めないといけない」と、ひとまず胸をなで下ろした。
魁皇、日馬富士の2大関と、期待の関脇稀勢の里が敗れたものの、初日は何とか無事に終えた。東西の支度部屋と土俵脇に監察委員会の親方を配置し、八百長相撲への監視の目を光らせた。普段は隣同士に座った力士が軽く雑談することもあるが、東西ともに静まりかえっていた。ベテランの幕内旭天鵬は「静かだなとは感じた。みんな意識してるよね」と変化を感じ取っていた。
監察委員は総勢11人。委員長の二所ノ関理事(元関脇金剛)は「特別に指摘する取組はありませんでした」と宣言した。仕度部屋に入った監察委員の親方は力士らに不穏な動きがあった場合は記載するように指示されていたが、「今日は特別なことはない」(二所ノ関委員長)と“無風”を強調した。
ただ、運営面では課題が残った。ある親方は持ち場の引き継ぎがなかなかできず戸惑っていた。また、携帯電話の提出を命じられている力士側からは「私は預けるのが面倒だから持ってきていない。でも、部屋に置いてきたと素通りすることもできるのでは」と疑問を呈した。審査されるのは力士の技量だけではない。残り14日間、協会全体が緊張を保たなければならない。
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