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白鵬、漂う充実感…信頼回復へ盤石相撲

 おしだしで豊ノ島を破った白鵬=両国国技館
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 おしだしで豊ノ島を破った白鵬=両国国技館

 「大相撲技量審査場所初日」(8日、両国国技館)

 八百長問題を受け、一般に無料公開される異例の場所が開幕した。7場所連続優勝を目指す横綱白鵬(26)=宮城野=は角界再生を願う相撲ファンに応えた。小結豊ノ島を押し出し、結びを締めた。八百長問題でモンゴルからともに来日した盟友・猛虎浪の引退や東日本大震災による精神的ショックを封じ込め、一相撲人としての仕事をまっとう。ほぼ満員の館内は満員御礼の垂れ幕は下りず懸賞もなかったが、力士は気迫を出した熱戦を展開した。

  ◇  ◇

 「はくほうぅ〜」、「があんばれよう」。温かい声援と拍手が、土俵上の白鵬に降り注ぐ。押し出した豊ノ島の背中に優しく手をまわし、表情を変えずに勝ち名乗りを受けた。その手にあるはずの懸賞金がないこと以外は、いつも通りに、勝つことが当然のように、初日の土俵を後にした。

 懐に入れると多彩な技を持つ豊ノ島を文字通り寄せ付けなかった。両脇を締めてもろ差しを封じ、間合いがあいてからはまわしにこだわらず前に出た。1月23日以来、105日ぶりの白星。「不安がないと言えばウソになる。気持ちよく、懐かしく感じながら相撲を取ることができました」。充実感を漂わせながら振り返った。

 八百長問題では猛虎浪をはじめ、同じカマの飯を食ってきた仲間を失った。不透明な調査結果に釈然としない思いもあった。「忘れようとしているところなんだから。思い出させないで」。心の穴は完全にはふさがっていない様子だった。

 角界だけではなく、日本全体も東日本大震災で大打撃を受けた。福島県の石川町や平田村を慰問し、逆に「頑張って」と勇気づけられもしたが、心のどこかで「相撲を取っている場合なのだろうか」という迷いはぬぐい切れないでいた。4月25日の会見では「(連覇)記録はどうでもいい」と投げやりにもなった。

 稀勢の里、豊ノ島、豪栄道ら有望株と「胸を合わせるうちに、いろんなことを忘れていった」。6日には部屋の若い力士と、行きつけの焼き肉店で恒例の食事会を行った。妻子も震災の影響で帰省していた徳島県から戻った。普段の生活を取り戻すごとに、平静さを少しずつ取り戻した。

 客席はほぼ満員。「今日のお客さんが家に帰って、横綱をはじめ、みんな頑張っていたと(周囲に)言ってくれるんじゃないかな」と期待した。信頼回復ははじめの一歩。横綱として誠実に土俵を守り続ける。

(2011年5月9日)

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