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堆肥使いヘドロ分解 石巻・津波被害水田で実験へ

津波で浸水した水田の状況を確認する小林社長(右)と日野さん=石巻市南境

 東日本大震災で浸水した宮城県石巻市の水田を堆肥で早期回復させる実証実験に、産業技術総合研究所東北センター(仙台市)や機械製造の福萬産業(福島県須賀川市)が共同で取り組む。津波を受けた農地から塩分を取り除く除塩とヘドロ分解を同時に図るのが特徴で、5月下旬に作付けをする。

 実験に使うのは畜ふん堆肥で、日大工学部の協力を得て福萬産業が開発した。5月上旬に投入する。堆肥には塩に耐性のあるバチルス属細菌が多く含まれ、混ぜて耕すことでヘドロの有機物を分解し、土壌改良につなげるという。
 堆肥を施すことで土の粒が団子状態になり、水はけや通気性が向上し、除塩を促進して塩害による根腐れも防ぐという。さらにゼオライト(多孔性の鉱物)も投入し、塩分や病原菌の吸着を図る。
 実験場所は石巻市専修大近くの水田計2000平方メートル。押し寄せた津波で約10センチの汚泥が堆積し、白い粉をふいたように塩分が表面に浮き出ている。
 宮城県は塩害農地の再作付けに長ければ3年程度かかるとの見通しを示している。福萬産業の小林功一社長は「従来の除塩方法は時間がかかりすぎる。塩だけでなく病原菌の巣であるヘドロの除去も必要だ」と指摘する。
 実験用の水田を提供した日野栄夫さん(60)は「ことしの作付けは諦めていたが、うまくいけばほかの農家の励みになる」と期待を寄せる。


2011年05月02日月曜日


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