東京電力福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は4日、原発事故が起きた際に炉内状況を外部に伝え、今後の進展を予測する「緊急時対策支援システム(ERSS)」が、電源喪失で機能しなかったことを明らかにした。バックアップ機能もないうえ、「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」はERSSに基づいて動かす仕組みになっており、事故時に備えた両システムが共倒れした形だ。保安院の西山英彦審議官は「地震による喪失はそもそも想定していなかった。今後どうしたらいいかを考えたい」と話した。
ERSSは事故発生後、原子炉内の水位や温度、圧力などのプラント状態をリアルタイムで伝送し、今後のプラント状況やそれに合わせて放射性物質の放出量も予測できる仕組み。【酒造唯】
毎日新聞 2011年5月4日 21時57分