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東日本大震災による被災地を取り巻くいまなお厳しい状況に、行政はどう応えるべきだろうか。

「YouTube」を通じて住民の窮状を全世界に訴え、米誌タイムが毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選んだ南相馬市の桜井勝延市長(55)。長年原発の安全性に警鐘を鳴らしてきた。希望的観測を排しながらも、復興策は“現地の思い”を中心に考えるべきだと語気を強める。

「日本の政治がやるべき仕事は、ひとりひとりの生き方を取り戻させること。私は26年間農業をやってきたから、酪農や農業を休まずやってきた人間が仕事を奪われる苦しみがわかります。それがわからない連中が区域とバリケードを作る。被災地の主役は現場の住民です。住み慣れた土地から離れて住んで、それが幸せなわけがない。誰だって戻りたいし、そこで生きたいし働きたいんです。行政はそうした住民の思いを中心に考えないといけません」

被災地のインフラは遮断され、国の方針に翻弄される。一方で現地で取材する報道機関の数も少なく、圏外に住む私たちに“中”の情報が届かないまま、風評被害が広がっている。桜井市長は被災者以外の人に呼び掛ける。

「東京は平常時とほとんど変わらないもんね。『一時停電した』『水がおかしい』って大騒ぎして、こちらとしては優雅な感じがするよ。原発で避難している人は1か月以上もそういう生活をしています。黙々と耐え忍んでいる人がいることをもっと伝えてほしい」(桜井市長)

※女性セブン2011年5月12日・19日号

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