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日米、米軍グアム移転で暫定合意〈1〉 米公電訳(6/7ページ)

2011年5月4日11時30分

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前文

9.前文の文言の多くは、既存の公的文書にある表現をそのまま使っている。特に、日米安全保障協議委員会(SCC)が2006年5月1日に発表した「米国と日本の再編実施のためのロードマップ」(ロードマップ)から来ている。米国はこうした既存文書の中で触れられてきた2つの具体的分野について、この前文の中で明瞭にするよう求めた。第1に、米国は、この前文において、沖縄からグアムへ移転する8000人の海兵隊員の「約9000人の家族」という表現について「関連する家族」という表現を導入するよう要求した。背景にある考え方としては、事情が異なる駐留政策の影響により、沖縄に現在海兵隊員と共に在住している家族たちよりもっと多い家族がグアムで海兵隊員と合流する可能性があるからである。第2は、約10億ドルをかけたグアムでの軍用道路への言及を削除してほしいという米側の要求である。この軍用道路は、2006年4月にコスト共有のための交渉の過程で、総体のコスト見積もり(つまり分母)を増やし、それによって日本側が負担するコストの比率を減らすために含まれることになった。移転協定の前文の文言についての交渉中に、米国は、軍用道路は再編の完了の絶対的な条件とはみなさないということを明確にした。日本側は二つのポイントを認識したが、既存で公になっている表現と異なる、いかなる語句についても、そうした変化が国会での詮索を招きかねず、移転協定の主要な課題を妨げることになるとの懸念から、強く反対した。こうした点について明確化し、それに対応する十分な日本側の認識を得たため、米側は既存のロードマップの文言を変えないという日本側の要求を受け入れた。

10.以上と別に、米国は前文の中で、これまで公になった文書の中には含まれてなかった二つの考えを導入した。一つは、前文の第4段落(グアムが海兵隊の前方展開のために重要であると両政府が認識していることを強調)である。米国はこれよりさらに強い表現を求め、グアムが米国の太平洋戦略全体という文脈の中で占める特有の能力を強調しようとした。しかし、防衛省、伝えられるところでは増田好平事務次官のレベルで、二国間の文書では、「政治的配慮」(日本の第2次世界大戦中のグアムでの歴史を示唆)から、「特有の」「戦略」「地点」といった用語を使う意思がなかった。米国は要求した用語を日本側が使う意思がないことへの失望を表明した。

11.さらに、米国は、グアム移転で自衛隊の訓練機会が増えることに言及するよう提案した。合意済みの履行計画(AIP)の中に、ほぼ継続的にローテーションでグアムに訓練のため部隊派遣をするという日本の具体的なコミットメントに関する明確な表現が存在し、以前のSCCの文書でより一般的な表現でグアムでの訓練機会については触れられているにもかかわらず、防衛省はまたも、増田次官個人がそうした言及について拒否権を行使しているとして、訓練について言及することを拒絶した。防衛省は自衛隊の訓練機会について言及することは移転協定が扱う範囲を超えるもので、阻害要因になるような疑問をいくつも生じさせ、グアムでの自衛隊の訓練についての計画が未策定であることから、防衛省はそうした疑問に答えることができないと主張した。米側は強い失望を表明した上で、グアムでの日米の訓練をめぐる協力がもたらす前向きな効果について啓発するためのほかの方法をさぐるため、日本側と協力すると約束した。

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