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移転費負担小さく見せかけ〈米公電分析〉自公政権時代2(2/2ページ)

2011年5月4日8時19分

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 一方、公電は、沖縄からグアムに移転する海兵隊8千人、その家族9千人という人数について、予算措置上の上限定員に基づいた数字とし、ロードマップ交渉時には「(日米)双方ともに、この数字が(実態と)かけ離れていることを認識していた」と言明。「日本国内での政治的な効果を最大限引き出すために、意図的に大きく見積もられた」としている。

 沖縄に住む家族も、実際は移転するとされた9千人を下回っている、との記述もある。家族については、9千人の中に沖縄在住ではない家族も含めることを可能にしようとして、米側は協定の中で「関係する家族」との表現に変更するよう提案したが、日本側がのまなかったという。

 しかし、そうした矛盾は結局、表にされなかった。米国でオバマ新政権が発足して間もない09年2月、来日したヒラリー・クリントン国務長官が中曽根弘文外相とグアム移転協定に署名した。

 このころ日本政府の官僚や米政府の念頭にあったのは、年内に予想される日本の総選挙で民主党が政権に就いても、普天間移設が遅れずに実行されるよう法的に義務づける態勢をつくることだった。

 クリントン長官あてに来日に向けた事前説明を記した東京大使館発の極秘指定公電には、こう記されている。

 「日本側当局者の考えでは、協定の締結と、次の会計年度中に米軍再編関係の予算として9億ドル以上が計上されたことによって、政権交代がここであっても、日本側の06年のロードマップへの関与は揺るぎないものとなる」

 グアム移転と、その前提条件となる普天間代替施設の建設は、この時点で、分かちがたいパッケージとして結びつけられていた。

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