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2011統一地方選@東京

議会の動画配信 過半数 本社集計

2011年04月13日

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小金井市議会の委員会の様子を傍聴席から動画配信する伊藤渉さん=小金井市本町

◆常任委まで公開は新島村だけ

 インターネットの動画で議論を公開する議会が増えている。朝日新聞が1月に実施した全国自治体議会アンケートでは、都内62の市区町村議会のうち55%の34議会が動画を配信している。ただし、実質的な審議が行われる常任委員会まで配信するケースはほとんどなく、住民側から風穴を開ける動きも出始めた。

◆住民が風穴、生中継も

 小金井市の会社員伊藤渉さん(45)は昨年11月から、動画配信サービス「ユーストリーム」を使い、傍聴席から小金井市議会常任委員会の生中継と録画放映を続けている。

 娘が通う学童保育所の民間委託計画が浮上。有給休暇を取って傍聴に通ううちに、「議会を傍聴できない人々にも市政の問題を考えてほしい」と思ったのがきっかけだ。

 常任委員会は、緊張感のある議論と事実上の意思決定の様子が見られる。ところが、市議会によるネット配信は、討論なしに議決されることも多い本会議の一部にとどまる。そこで、「自前で配信したい」と申し出て議会の許可を受けた。民間委託問題を取り上げた先月の厚生文教委員会の中継は13人が閲覧した。

 本社アンケートによると、ネット動画配信をしている都内34議会のうち本会議限定が25市区。新宿区や武蔵野市など8市区は年1回ずつ開かれる予算・決算特別委員会も配信しているが、常任委員会まで配信するのは新島村しかない。「型通りの本会議ならまだしも、委員会まで中継されたら発言に困る」。そう本音をもらす区議もいる。

 そんな中、町田市議会は来年夏の新庁舎移転で設備を一新し、常任委員会、議会運営委員会を含む全委員会をネット中継する予定だ。方針をまとめた田中修一・議会運営委員長は「開かれた議会を目指し、各会派が一致した。全国でも先進例になる」と胸を張る。

 一方で、ネット配信をしていない議会も28区市町村にのぼる。渋谷区議会は議会運営委員会で何年も協議しながら、意見がまとまらない。「パフォーマンスに走る議員が出て審議が長引く恐れがある」「新たな議場のルール作りが必要」といった議論が続いている。

 ネット配信のために、議員の発言の取り消しや休憩時間の映像の削除といった編集作業を専門業者に委託し、200万円前後の初期費用や毎年100万円を超す維持費を支出する議会もある。このため、費用の大きさを理由に二の足を踏む小規模市町村議会もある。

 だが、伊藤さんは「ユーストリームで生中継すれば費用をほとんどかけず、ありのままの議会が映し出せる」。配信サービス自体は無料で利用でき、2万円程度でウェブカメラなどの必要な機材もそろうという。

 三重県鳥羽市議会は昨年9月からユーストリームによる本会議と常任委員会のネット中継に踏み切った。これまでの支出は数万円。閲覧数は「圧倒的に委員会が多い」(鳥羽市議会事務局)。(米沢信義)

■都内議会のインターネット動画配信の状況■

●本会議のみ配信(25市区)

 港区、文京区、墨田区、江東区、目黒区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区、立川市、三鷹市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国立市、福生市、稲城市、あきる野市、西東京市

●本会議と予算・決算特別委員会を配信(8市区)

 新宿区、台東区、品川区、大田区、世田谷区、杉並区、豊島区、武蔵野市

●本会議と常任委員会を公開(1村)

新島村(常任委員会は一部公開)

●導入していない(28市区町村)

 千代田区、中央区、渋谷区、中野区、八王子市、青梅市、府中市、昭島市、国分寺市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、羽村市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町
新島村を除く島しょ部8町村

(本社全国自治体議会アンケートに対する各議会事務局の回答を踏まえ、東京総局が追加取材し集計)

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