【コラム】政争で忙しい日本政界

 「一致団結しましょう」「頑張れ日本」

 日本のテレビでは今年3月11日に発生した大地震を克服するため、全国民が一つにまとまろうという公共広告が絶え間なく流れている。ところが、こうした広告が必要ないほど日本国民は冷静で、優れた秩序意識と忍耐力を見せ、危機を克服している。災害復旧のための募金は、地震後1カ月を待たずに1000億円を上回り、被災地に行きたいというボランティアは時を追うごとに増えている。

 しかし、日本の政界は「戦後最大の危機」を前にしても、激しい政争を繰り広げている。政治的休戦を宣言していた自民党など野党は、福島第1原子力発電所の事故が収拾の気配を見せない上、災害復旧事業も遅々として進まないことを受け、菅直人首相の退陣論を持ち出した。菅首相が退陣して初めて国政運営に協力できるというわけだ。確かに菅首相は、外国人の目から見ても、リーダーシップを発揮できていない。とはいえ、全ての責任を菅首相一人に押し付けるのは合理的ではなく、危機克服にも役立たない。依然として世界を不安にさせている福島第1原発の事故だけを取り上げてみても、民主党政権の責任は半分だけで、残り半分は自民党にある。1955年以降、日本を率いてきた政党は自民党だった。福島第1原発を建設し、運転基準を作り、事故対応マニュアルを作成したのも自民党政権だった。

 加えて、災害という状況が続いている局面では、首相や政権の交代も不可能だ。国家的危機の状況で指導者を交代させる民主主義国家はない。ひとまず指導者を中心として、危機の状況をある程度収拾し、次いでその功罪を問い、政権を交代させる。米国で9・11同時多発テロが発生したとき、当時のブッシュ大統領の支持率が90%まで跳ね上がり、野党が国政運営に協力したのは、危機を早期に克服するための避けられない選択だった。その上、最近の日本はほぼ年に1回の割合で首相が変わったため、首相交代に対する反対論も無視できない。

 自民党は、政権批判の刃は研ぐものの、自分たちが誇る数十年間の政権担当ノウハウを現政権に提供してはいない。菅首相は自民党の谷垣総裁に入閣を提案したが、拒絶された。自民党の一部は「どうして首相が電話で入閣を要請できるのか」と礼儀の問題を持ち出している。それでいて自民党は、危機克服のための政策アイデアを十分に提示しているわけでもない。

 国際社会から日本に対してなされている指摘も、首相のリーダーシップに関するものではない。災害対応と復旧の面で過度にマニュアルに依存する、日本式システムに対するものだ。日本が大地震を契機に、もう少し弾力的なシステムを構築できれば、災害に強い国家になることができ、20年続く不況の泥沼からも抜け出すことができるという。危機の状況でも、誰が首相を務めるべきかというような政争ばかりを繰り返していては、民主党だけでなく自民党も日本国民から背を向けられかねない。「大阪維新の会」「減税日本」などの地域政党が最近の選挙でブームを巻き起こしたのも、既成政党に対する不信感があるからだという。アフガニスタンなど途上国までが日本に支援金を送っているが、日本の政界は国際社会を失望させ続けている。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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