口蹄疫に放射能、農水産物の供給ルートに変化(上)

流通業者は新規ルート開拓に奔走

莞島・古今島などが新たな韓牛の供給元に

ノルウェー産のサバなど、水産物も新たな供給元を開拓

 韓国国内での口蹄(こうてい)疫騒動や、日本の福島第一原子力発電所で発生した放射能漏れ事故以降、韓国の食卓に上る農水産物の「清浄地域」の地図が変化している。口蹄疫の被害を受けていない場所を探し求め、済州島や全羅南道の山奥・離島にまで流通業者が押し寄せている。また水産物は、北極海やベーリング海、インド洋などが新たな供給元として浮上している。

 大手スーパー「ロッテマート」は先月末、畜産担当のバイヤーたちを、全羅南道莞島や古今島など韓国南海岸の離島に派遣した。離島地域で飼育されている韓牛(韓国伝統の肉牛)は生産量が少ないため、大手流通業者はこれまで関心を寄せてこなかった。ところが、口蹄疫が終息したにもかかわらず、一度落ち込んだ肉類の消費がなかなか回復しないことから、口蹄疫に感染していない韓牛の開拓に直接乗り出したわけだ。ロッテマートのキム・チョルホMD(商品企画者)は「事前に調査した結果、莞島と古今島だけで約7000頭の韓牛を飼育していることが分かった。島は、陸地で口蹄疫が再発しても、陸とつながっている橋さえ通行禁止にすれば、伝染病の波及を防ぐことができるため、今後安定的な畜産物の供給元になるものと期待している」と語った。

 一方、江原道や慶尚・京畿道地域の有名韓牛ブランドはイメージが低下し、大きな痛手を負った。安東韓牛の場合、昨年11月の利川韓牛に続き、特許庁が指定する「地理的表示優秀農産物」の2例目となり、全国ブランド化を見込んでいたが、口蹄疫という「伏兵」に遭遇した。安東市の関係者は「ブランド価値の回復には、かなりの時間がかかると予想される」と語った。江原道地域の有名韓牛ブランドも、困難に直面している点では変わらない。流通業界のある関係者は「これまで韓国国内で“清浄地域”といえば済州島と江原道の2地域を挙げていたが、今回は口蹄疫の被害が江原道にまで及んだため、済州島やほかの島が新たな清浄地域として注目されている」と語った。また、韓牛協会の関係者は「地域を問わず、韓国各地で畜産物の消費が減っている状況。エコ畜産を拡大し、消費者の不安を解消するための広報活動にも力を入れて取り組んでいる」と語った。

イラスト=パク・サンフン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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