'11/5/9
果樹園放牧、枝も食べる被害
呉市が遊休農地対策として実施した、かんきつ園地への牛の放牧実験で、牛が木の枝を傷つける被害が出た。雑草を牛に食べさせて園地を再生する実験だったが「考えていた以上の被害」(市農林振興課)。市は枝を傷つけない放牧方法を検討する。
市は1〜3月、かんきつ園だった倉橋町内の約1・2ヘクタールに牛5頭を放牧した。傾斜地で園地の石垣を壊さずに放牧が可能かなどを検証するのが目的で、かんきつ類を食べるかどうかも併せて調べた。
農林振興課によると、5頭のうち3頭は草だけでなく、園地の甘夏も好んで食べた。木になっている実も葉っぱごとむしり取って食べたため、枝先の樹皮が剥げるなどの被害が出た。被害は園地内の木の2割程度に及んだ。
一方、牛が斜面を駆け上がり、土手が崩れた箇所はあったものの、石垣が壊れることはなかった。雑草は1カ月程度で食べ尽くし、牛の体調にも問題はなかった。
田畑も含めた市内の遊休農地は1245ヘクタール。特に傾斜地の作業が多いかんきつ園地は担い手不足から遊休農地となるケースが相次いでおり、市は園地の再生に向けて牛の放牧の有効性を引き続き調べる。