4月10日に投開票された統一地方選のさいたま市議選で、告示前後に文書で投票を呼び掛けたとして、県警捜査2課は6日、岩槻選挙区でトップ当選した北村隆幸市議(42)=無所属=を、公職選挙法違反(事前運動、法定外文書頒布)容疑でさいたま地検に書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。北村市議は2日に「一身上の都合」として辞職願を提出している。
送検容疑は、4月1日の告示前後に複数回にわたり、有権者に向けて「北村たかゆきへ投票をよろしくお願い致します」などと書いた文書を郵便で送ったとしている。
北村市議によると、文書は後援会関係者に送り、あいさつ文として書いたという。
同市議選の岩槻選挙区(定数5)には9人が立候補し、北村市議は9423票を得てトップ当選していた。北村市議は旧岩槻市議を2期務めた後、合併後に行われた前回07年のさいたま市議選で初当選した。【山本愛】
北村隆幸市議は6日午前、さいたま市役所内で会見し、市議の辞職願を提出したことについて、「すべて私の責任。投票していただいた有権者には申し訳ない」と陳謝した。
北村市議によると、後援会関係者に文書を郵送したことについて、4月10日の投開票後に県警から事情聴取を受け、「(公選法が禁止する)事前運動と文書頒布に当たる」と指摘されたという。
北村市議は会見で、自身の関与や違法性の認識について「捜査中」を理由に明言しなかった。一方、岩槻選挙区が定数5に対し9人が立候補する激戦となったことが文書を出した背景にあるのではないかと問われると「少しはあると思う」と述べた。
公職選挙法は、同法違反で罰金刑以上を受けた者への公民権停止を定めているが、北村市議は「ゆっくり考えたいが、今後については未定」と話した。
市選管によると、10日の本会議で北村市議の辞職が認められれば、次点だった民主前職の高野秀樹氏(50)が繰り上げ当選する。【林奈緒美】
毎日新聞 2011年5月7日 地方版