2011年5月9日5時2分
焼き肉チェーン「焼肉酒家(さかや)えびす」の集団食中毒事件で、運営会社「フーズ・フォーラス」(金沢市)が富山・福井両県警などの合同捜査本部の調べに対し、食肉卸会社「大和屋商店」(東京都板橋区)から「そのまま生食用に使える肉として売り込みを受けた」と説明していることが、フーズ社関係者の話でわかった。
厚生労働省の衛生基準では、生で食べる肉の場合、細菌などが付いているおそれがある表面を削り取る「トリミング」作業を食肉処理業者や飲食店に求めている。フーズ社は大和屋と取引を始めて以降、店での肉の処理を簡略化し、大和屋も保健所の調査にトリミングを否定していることから、双方で適切な処理を受けないままの肉がユッケとして客に提供されていた疑いがある。
フーズ社が捜査本部に任意提出したメール(2009年5月20日付)によると、大和屋の役員がフーズ社の仕入れ担当者に宛てて「ユッケ用サンプル」の完成を報告した際、「歩止(ぶどま)り約100%で、無駄がありません」としていた。
メールには「どの部位を食べても問題なく感じた」「和牛の血統で雌なので味があります」「発色も赤身の良い色がでて、身がしまってます」などの文言も並んでいた。
歩どまりは、仕入れた肉全体のうち実際に商品として使える割合で、フーズ社は、トリミング済みの肉が納入されると理解。大和屋から細菌検査で陰性の証明書も示されたため、09年7月、これまで他の業者から仕入れていたユッケ用の肉を大和屋から仕入れることにした。
これに伴って、これまで肉の筋などを本格的に各店舗で取り除くと定めていた社内マニュアルを改め、大和屋から真空パックで届いた肉は、ほぼ全量をユッケとして客に提供していたという。