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企画特集2

【京のひと】

徐勝さん

2011年04月24日

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                 立命大教授を退任

 1970年代、軍事政権下の韓国で政治犯として拘束され、19年間の獄中生活を強いられた徐勝さん(66)。この3月末、13年間にわたって教授を務めた立命館大を定年退職した。半生を振り返る最後の講義には多くの学生が詰めかけ、花束を贈った。これまでの教員生活と今後の抱負を聞いた。

■本当の平和へ 信頼関係を■

 ――最終講義には約200人の学生が集まりました。

 私の半生を絡めながら、「東アジアにおける人権の探求」をテーマに話しました。これまで監獄での体験はあまり話さなかったので、私の経歴を知らなかった学生が多い。講義後の感想文には「最初に体験を聴いていれば、授業への心構えが違ったのに」という声もありました。みんなが一生懸命に話を聴いてくれて、感動しました。

 ――在任中、学生にどんな指導をしたのですか。

 講義は「比較人権法」や「現代韓国の法・政治」を担当し、聴講生は9千人に達しました。2000年からは、東アジアの国家暴力の現場を歩く「平和・人権キャンプ」に取り組みました。日韓の学生が朝鮮半島の38度線や沖縄戦の地を一緒に訪ね、そこで考えたことを徹底討論するものです。東アジアの平和のためには、信頼関係の構築が重要。若者たちが意見をぶつけ合う試みは、そのきっかけになったと思います。

 ――今後の抱負は。

 私は教員として正式なトレーニングを受けなかったけれど、監獄体験から人権とは何かを語ってきました。4月からは特任教授として、引き続き学生の指導にあたります。

 歴史認識や靖国問題、強制連行など、アジア各国に対する日本の清算は終わっていません。これからの学生には、本当の平和を実現するために何が必要かをじっくり考えてほしいですね。

 ◇ソ・スン◇

 1945年、在日朝鮮人2世として京都に生まれる。ソウル大留学中の71年に「北朝鮮のスパイ」とされて逮捕、死刑判決を受ける。釈放8年後の98年から立命館大教授を務めた。

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