2011年3月18日 23時22分 更新:3月19日 0時59分
【カイロ樋口直樹】イエメンの首都サヌアで18日、サレハ大統領の長期独裁体制に反対するデモ隊が、治安部隊や政府支持者らと衝突し、発砲騒ぎに発展。ロイター通信によると、少なくとも42人のデモ参加者が銃撃されるなどして死亡、約300人が負傷した。政権側は非常事態を宣言、事態の収拾に乗り出したが、反体制派側は徹底抗議を貫く構えを崩していない。
目撃情報によると、サヌア大学近くでイスラム教の「金曜礼拝」に参加した人々が、サレハ大統領の辞任を求めるデモに参加、行進を始めたところ、治安部隊や政府支持者らと衝突した模様だ。イエメンではここ数週間にわたり、数万人規模の反体制デモが続発していた。
サレハ大統領は衝突後の記者会見で、国防会議が非常事態を宣言したと発表した。デモ参加者に多数の死傷者が出たことに、遺憾の意を表しながらも、衝突時に治安部隊は現場におらず、発砲していないと主張。治安当局の関与を否定した。
一方、反体制派の野党指導者はロイター通信に対し、「もはや政権との相互理解はあり得ない。彼(サレハ氏)は民衆の前に屈服するしかない」などと述べ、あくまでサレハ大統領の即時辞任を求める考えを示した。