リビア:「即時停戦」表明…欧米は軍事圧力維持

2011年3月18日 23時19分 更新:3月19日 1時20分

 【カイロ和田浩明、ブリュッセル福島良典】リビアのクーサ外相は18日、首都トリポリで緊急会見し、国連安保理が前日の決議で求めた反体制派との即時停戦を受け入れ、すべての軍事作戦を中止すると発表した。反体制派と対話を行う姿勢も明示した。英仏を中心とした欧米諸国は、決議に基づき、民間人保護を目的に数日以内の武力行使を示唆している。今回の発表は現体制の生き残りのため、大幅な方針転換を図ったもので、武力行使を回避する時間稼ぎの可能性もある。

 英独仏首脳、欧州連合(EU)、アラブ連盟などは19日にパリで今後の対応を協議する。キャメロン英首相は18日、軍事行動に向け戦闘機を配備する意向を示し、リビアの決議受け入れについては「行動を見て対応を決める」と警戒感を解かなかった。欧米は軍事的圧力を維持しながら、リビア政府軍が実際に撤退するかどうかを見極める。

 会見したリビアのクーサ外相によると、リビア政府は即時停戦に加え、民間人や外国人の保護や人権尊重など決議の要求を認める。また、「すべての勢力と対話を始める」として、北東部ベンガジを拠点とする反体制派組織「国民評議会」と交渉する意向を示した。「人道に対する罪」の可能性が指摘される反体制派や市民への武力弾圧に関しても、国際調査を受け入れた。

 一方、外相は安保理決議の飛行禁止空域設定や政権幹部らの資産凍結を批判。最高指導者カダフィ大佐の進退には触れなかった。

 カダフィ政権が即時停戦を実施するかには疑問も残る。政府軍は17日の安保理決議採択後も反体制派に対する攻撃を継続した。ロイター通信によると、仏外務省は18日、「(カダフィ政権の)市民への脅威は変わらない」との見解を示した。

 また、EU高官によると、アフリカ連合の5カ国首脳が外交解決の糸口を探る仲介に乗り出しているという。

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