リビア:劣勢の反体制派、喜び爆発 安保理決議採択

2011年3月18日 18時24分 更新:3月19日 0時57分

リビア北東部トブルクで、安保理決議の採択に喜ぶ反体制派の市民=2011年3月18日、ロイター
リビア北東部トブルクで、安保理決議の採択に喜ぶ反体制派の市民=2011年3月18日、ロイター

 【カイロ樋口直樹】安保理決議採択を受け、政府軍の猛攻を前に「陥落」の危機にひんしていたリビア北東部の反体制勢力本拠地ベンガジは18日未明、決議を歓迎する大歓声に包まれた。圧倒的な陸上部隊を擁する政府軍がベンガジに迫る中、これを迎え撃つ反体制派にとって、欧米諸国主体の空爆開始まで持ちこたえることができるかどうか焦点になっている。

 「我々は今夜、(ベンガジに)到着する。(反体制派には)一切の慈悲も、同情もかけない」--。最高権力者カダフィ大佐率いる政府軍が17日、ベンガジ近郊を空爆したのに続き、カダフィ氏はラジオ放送でベンガジへの総攻撃を予告。反体制派に対し「武器を捨てれば恩赦を与える」と降伏を迫っていた。

 反体制派側は「このままでは政府軍による虐殺は免れない」(報道官)と危機感を強めていただけに、ベンガジの中央広場に設置された大型テレビが安保理決議採択の様子を映し出すと、数千人の人々が一気に喜びを爆発させた。衛星テレビ局アルジャジーラが生中継した会場には、旧王制時代の三色旗がはためき、Vサインを掲げる人々の頭上にいくつもの祝いの花火が打ち上げられた。

 一方、AFP通信によると、政府側のカイム副外相は「この決議は、リビアの統一と安定を脅かす一部の国際社会の侵略的な態度を示すものだ」と非難。カダフィ氏は決議採択の直前、ポルトガルのテレビで「もし世界が正気を失うなら、我々もまた正気を失うだろう」と述べるなど、欧米との対決姿勢を改めて強調した。

 反体制派は先月の武装蜂起以降、地中海沿岸の多くの都市を支配下に収め、東西両方面から首都トリポリへ迫った。だが、唯一の空軍力や豊富な重火器を有する政府軍に次第に押し戻され、ここ数日の戦闘でベンガジの最後の防衛ラインとなるアジュダビアもほぼ制圧されていた。

 ロイター通信によると、政府軍はベンガジまであと100キロ前後に迫っている。政府軍の戦闘機は旧式だが、反体制派の対空機関砲では太刀打ちできない。激しい空爆に後退を余儀なくされていた反体制派にとって、安保理決議による「飛行禁止空域」設定の意味は大きい。

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