2011年3月18日 11時15分 更新:3月18日 13時10分
日米欧の先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は18日、緊急の電話会議を開き、東日本大震災を受けた急激な円高の進行に対応するため、外国為替市場で協調して介入することで合意した。これを受け、政府・日銀は午前9時、円売り・ドル買い介入を開始。東京市場の円相場は同日早朝の1ドル=79円台前半から81円台前半まで2円程度急落した。介入は昨年9月に日本が単独で実施して以来、約半年ぶり。日米欧の協調介入は、各国がユーロ買いで介入した00年9月以来、約10年半ぶりとなる。
これまで、日本を除くG7は、意図的に相場を動かす為替介入には消極的だったが、震災と原発トラブルで苦境に陥っている日本の要請を受け、支援する意味も込めて協調介入で合意した。円売り・ドル買いでの協調介入は95年8月以来約15年7カ月ぶり。
同日午前7時から行われたG7は、震災によって日本経済が大きな打撃を受ける中で、円相場の過度な変動は世界経済や金融に影響を及ぼすとの認識で一致。共同声明は「困難な時における日本の人々との連帯意識と、必要とされるいかなる協力も提供する用意があることを表明する」とし、米、英、カナダ、欧州中央銀行が18日に協調介入に参加することを表明した。
政府・日銀が午前9時から介入に入ったほか、米国や欧州の中央銀行はそれぞれの市場で、同日の朝から順次介入を実施する。東京市場では、介入によって、早朝に1ドル=79円台前半で取引されていた円相場が急落。同日午前は、前日午後5時比で2円以上円安・ドル高の1ドル=81円台半ばで取引され、ユーロ相場も同4円以上円安・ユーロ高の1ユーロ=114円台半ばで取引された。
11日の大震災発生後の円相場は、保険会社や企業が海外のリスク資産を売って円建ての現金に換金する動きが強まるとの思惑から、対ドルで6円以上急上昇し、17日早朝に一時戦後最高値の1ドル=76円台前半まで急騰。震災被害に加え、円高が日本経済をさらに悪化させ、世界経済にも波及するとの懸念が高まっていた。
野田佳彦財務相はG7終了後、白川方明日銀総裁とともに会見に応じ、「困難な状況にある中、G7が連帯して市場の安定に向けて協調することの意義は極めて大きい」と強調。白川総裁も「為替市場におけるG7各国との協調行動が為替市場の安定的な形成に寄与する」との期待を述べた。【坂井隆之】