2011年3月18日 10時4分 更新:3月18日 10時57分
【ニューヨーク山科武司】国連安全保障理事会は17日、リビア上空の飛行禁止空域設定などを盛り込んだ新たな対リビア武力行使容認決議案を賛成多数で採択した。決議には「市民を守るため、必要なあらゆる方策を取る」との文言が記された。これを受け米英仏などは、反政府勢力の拠点への攻勢を強めているカダフィ政権に対する空爆を含む武力行使を準備する。
決議案には15理事国のうち草案を作成した英仏米など10カ国が賛成。中国、ロシア、インド、ドイツ、ブラジルは棄権した。
決議案は、2月26日に採択した制裁決議と同様に国連憲章第7章(平和に対する脅威)を明記した。だが今回は41条(経済制裁)には言及せず、武力行使を含むあらゆる選択肢を可能とした。その上で「カダフィ政権の攻撃の脅威にさらされるリビア市民を守るあらゆる方策をとる」と強調した。
一方で「外国軍の占領を除外する」と付言し、欧米軍のリビア国内進出に懸念を示すアラブ各国やリビア市民に配慮した。また、飛行禁止空域の設定では「アラブ連盟との協力の下で」とした。
資産凍結は、カダフィ大佐の側近など政権中枢、リビア中央銀行にも拡大された。
会合後、英国のグラント大使は記者団に「決議で行動を起こす法的根拠は整った」と述べたが、武力行使の時期は明言しなかった。
反体制派側に立つリビアのダバシ次席大使は「できるだけ早く行動を起こしてほしい」と語った。
一方、ロシアのチュルキン大使は「飛行禁止空域の実効性に疑問がある」と棄権理由を述べた。
安保理の新たなリビア決議について国連の潘基文(バンキムン)事務総長は17日、採択を歓迎し、「すみやかに決議を実行することを期待する」との声明を発表した。