2011年3月17日 19時54分 更新:3月18日 0時44分
政府は17日の持ち回り閣議で、藤井裕久官房副長官(78)を首相補佐官に充て、後任の官房副長官に前官房長官の仙谷由人民主党代表代行(65)を起用する人事を決めた。東日本大震災の被災者支援に向けて、首相官邸の体制を強化するのが狙いで、仙谷氏は支援に関する省庁間調整を担う。枝野幸男官房長官が17日の記者会見で発表した。【小山由宇、高山祐】
仙谷副長官は17日夜、官邸で記者団に対し「1000年に1回の大災害の中、被災者の皆さんに少しでも希望が見えるような何かをしたい。まず、モノがなくなって大変な生活を一刻も早く改善する」と述べ、被災地への物資輸送に全力を挙げる考えを表明した。仙谷氏は政府の緊急災害対策本部の下に設ける被災者生活支援特別対策本部(本部長・松本龍防災担当相)の副本部長に就任する。
仙谷氏の副長官起用について、枝野氏は17日の記者会見で「被災者の生活支援は、強力な政治力を要する仕事だ。関係省庁を調整していかなければならず、仙谷氏が適任と首相が判断した」と説明。高齢の藤井氏は連日の災害対応に「やや体の限界を超している」と周辺にもらしていた。首相補佐官の定員は5人で、藤井氏の就任により首相側近の加藤公一補佐官が退任する。
仙谷氏は昨年11月に参院で問責決議を受けており、菅首相も1月の内閣改造で官房長官続投を断念した経緯がある。しかし、参院運営を仕切る民主党の輿石東参院議員会長が17日午後の政府・民主党連絡会議後の立ち話で、首相に「(官邸強化に)使える人間なんて限られている」と話し、仙谷氏にも「ふるさと(官邸)に帰って仕事をしたらどうか」と打診。仙谷氏の起用が一気に進んだ。
問責決議を受けた仙谷氏は2カ月で官邸に戻るが、枝野氏は17日の会見で「国会内外の事情より、今は強力に震災対策を進めていく」と強調した。その上で「兄貴分」的存在の前官房長官との関係についても「長官として副長官に接する。仙谷さんも副長官の立場で接していただく」と言い切ったが、会見中、仙谷氏の役職を「官房長官」と言い間違える場面も2回あった。
【官房副長官】
仙谷 由人氏(せんごく・よしと)東大中退。国家戦略相、官房長官。65歳。徳島1区、衆院当選6回。