東日本大震災:救援物資輸送に全力…「買い占めやめて」

2011年3月17日 11時26分 更新:3月17日 15時13分

廃校になり使われていなかった旧釜石第一中学校の体育館で避難生活をする被災住民=岩手県釜石市で2011年3月17日午前7時58分、長谷川直亮撮影
廃校になり使われていなかった旧釜石第一中学校の体育館で避難生活をする被災住民=岩手県釜石市で2011年3月17日午前7時58分、長谷川直亮撮影
会見で記者の質問に答える枝野幸男官房長官=首相官邸で2011年3月17日午前11時45分、藤井太郎撮影
会見で記者の質問に答える枝野幸男官房長官=首相官邸で2011年3月17日午前11時45分、藤井太郎撮影

 政府は東日本大震災の被災地への救援物資の収集・輸送に全力を挙げている。緊急災害対策本部の17日午前0時現在のまとめでは、16日中に各地の避難所などに到着したおにぎりやパン、即席ラーメンなどの食料は約60万個で、15日までの5日間に届けた約87万個に匹敵、さらに約155万個を輸送中だ。16日からは対応を自衛隊に一元化し、効率化を図っている。【西田進一郎】

 枝野幸男官房長官は17日午前の会見で被災地以外での物資買い占めに懸念を表明。「全国的には物資は不足していない。全国の皆さんが冷静に対応すれば、その分を東北に送れる。国民は冷静に行動していただけると信じている」と述べ、被災地に届ける物資や燃料のスムーズな調達のため、買い占めを控えるよう呼びかけた。

 被災地では水、食料、毛布、燃料がいずれも不足しているが、道路は寸断され空港や港も津波で壊滅的な被害を受けており、輸送は難航している。枝野氏は17日の会見で「相当数のタンクローリーが現地に向かえる状態で動き出していると業界から報告を受けた。(東北大出身の)私も冬の寒さを知っている。全力を挙げているのでもうちょっと待っていただきたい」と避難住民らに理解を求めた。

 被災地で特に要望が強いガソリンや灯油などの燃料は既に130万リットルを届け、さらに180万リットルを輸送中。警察庁は16日、燃料を運ぶタンクローリーの東北自動車道通行を容易にするため、許可証発行の手続きを簡素化した。自衛隊は、津波による泥や倒木で使えなかった航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)の滑走路復旧を15日に終え、同基地を当面の輸送機受け入れの拠点とする。

 政府の緊急災害対策本部のまとめでは、16日中に被災地に届けられたのは食料のほかに飲料水約83万本(計約110万本)、毛布1万2000枚(計約21万枚)、おむつ2万枚(計3万枚)、仮設トイレ470個(計600個)など。さらに飲料水72万本、おむつ約5万枚、仮設トイレ810個が輸送の途上にある。

 こうした物資の輸送は自衛隊に一元化されており、都道府県が地方自治体や民間企業からの救援物資の受け入れ窓口になり、各地の自衛隊駐屯地に引き渡す。枝野氏は17日午前の会見で「救援物資を提供したい市町村や民間は都道府県に連絡を」と述べた上で、個人による提供は「市町村におたずねいただきたい」とした。また、枝野氏は「生ものや腐りやすいもの、日持ちしないものはご遠慮いただきたい」と話した。

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