東日本大震災:自衛隊ヘリ、放水できず 17日にも実施

2011年3月16日 19時18分 更新:3月17日 0時41分

福島第1原子力発電所
福島第1原子力発電所
避難指示、屋内退避指示が出されている範囲
避難指示、屋内退避指示が出されている範囲
福島第1原発3号機(左)と4号機=2011年3月15日午前7時33分撮影(東電提供)
福島第1原発3号機(左)と4号機=2011年3月15日午前7時33分撮影(東電提供)

 菅直人首相は16日、東京電力福島第1原発3、4号機が冷却機能を喪失したことを受け、防衛省に陸上自衛隊のヘリコプターによる同原発3号機などへの上空からの海水投下を指示、同省は実施に向けた準備活動に踏み切った。しかし、この日は放射線量のモニタリング調査の結果、防衛省が定める隊員個人の累積被ばく総量限度50ミリシーベルトの約4倍に当たる数値が上空で観測されたため、断念。一方、警察庁は16日、温度上昇で水が蒸発した可能性もある4号機の使用済み核燃料プールに注水して冷却するため、地上から放水を実施する方向で検討に入った。現場の放射線量を計測して作業可能かを判断したうえで、17日にも放水を開始する。

 防衛省は当初、「隊員の被ばくの可能性など安全性が確保できず、1回に運べる水の量も限られている」として、海水投下に慎重だった。だが、16日早朝から午前中にかけ、同原発では4号機で火災が発生、3号機では白煙が上り、格納容器損傷の可能性が生じる深刻な事態に発展し、大型輸送ヘリCH47Jを現地に送った。防衛省は17日も上空のモニタリング調査を行い、安全が確認されれば海水投下を試みるが、放射線量が下がる見通しは立っていない。

 また冷却機能回復に向けた米軍の協力に関し、北沢俊美防衛相は16日、「(東京電力に)米軍の車両が貸与されており、東電が(使用のための)特殊な機能を習得しようとしている」と述べ、東電が米軍から提供されたポンプ車で消火に当たる、との見通しを示した。

 警察庁は放水作業に、警視庁機動隊の高圧放水車を使う方針。関係者によると、作業は防護服を使用して実施する方向で検討している。放水車は既に、同原発に到着したという。

 4号機は15日、使用済み核燃料プール付近で爆発音があり、建屋が損傷。その後、火災が発生した。いったん鎮火したとされていたが、16日朝も同じ場所から爆発や火災が起きた。周辺は放射線量が危険なレベルに達し、核燃料の温度も上昇している。【本多健、犬飼直幸、坂口裕彦、鮎川耕史】

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