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[27393] {習作} 悪魔との契約(なのはオリ主)
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/04/24 22:05
チリチリと音が聞こえる
ガラガラと崩れる音が聞こえる
バチャと液体がぶちまけられる音が聞こえる
一体何の音なのかさっぱり(さっぱり?)解らない
そうやって自分に嘘をつくが勿論現状は変わらない
意識は理解を拒むのに頭は意識を拒む
チリチリという音
それは炎が燃え上がる音
ガラガラという音
それは建物が崩れる音
バチャという音
明瞭だ
人の中に流れる赤い紅い朱いアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイ

血だ


この数時間、いや数分
それとも数秒だろうか
よく解らない
とにかくもう見慣れてしまったものだ
いい加減飽き飽きする
しかし俺自身はもう動かない

動けない

動く気が起きない
別に今日は特別なことなんてなかった
ただ家族と買い物しにこの地獄
このデパートに来た
ただそれだけである
そしたらご覧の有様
デパートは一瞬で地獄に早変わり
地獄の大安売りである
ああそういえば俺の家族はどこに行ったのだろうか
今、俺は体を仰向けにして寝ている
この地獄に変わる前までは一緒にいたはずだ
そう思って力の入らない体というか首を無理やり動かして左右を見る
すると案の定
そこには物も言わなければ音も作らない見覚えのありすぎるガラクタが

一つは天井から崩れてきたコンクリートの破片に色々刺されたガラクタ
破片と言っても数メートルぐらいの大きさだが
それが男の体中に刺さっていた
そのせいか体から黒と赤が混じった内臓を吐き出していた
俺がついさっきまで父と呼んでいたものだった

もう一つは爆発をもろに受けたのか黒焦げのものだった
ジュー、ジューと肉が焼ける音がまだ聞こえる
これでは判別がつかないが距離的に見れば多分ついさっきまで母と呼んでいたものだったのだろう

何だかおかしい
何故自分はこんなにも冷めた思考をしているのだろう
ついさっきまで自分はどこにでもいる子供であった
くだらないことで笑い、泣き、怒り、悲しみ、喜び、悔しがり、楽しむ
そんな平凡な、そいでいて幸せな自分だった
何が自分を変えたのか
この状況で些か考えるのはおかしいかもしれないがかまいやしない
どうせもうすぐ散りゆく定めだろう
ならば自分がしたいことをするまで
そう思って数秒思考する
答えは簡単であった
目の前の地獄
それが俺を変えたのだろう
この地獄が俺から喜怒哀楽を奪ったのだろう
流石、地獄
地の底には相応しい
ああ
だから地獄に相応しいように俺を変えたのか
納得
では俺は既に人ではないものに変わったのだろうか
まぁ、別にどうでもいいことだ
さっきも考えたようにどうせもうすぐ消える運命(さだめ)だ
消えるものが人であろうがあるまいがそんなものは大した違いはないだろう
どうせ堕ちるところは一緒だろう
ならば足掻くだけ無駄、無駄、無駄
そう思い目を瞑る


だが世界とは皮肉なものでそう思うと全然終わる気配がない
面倒だがもう一度目を開ける
そこはやっぱり変わり映えのない世界
飽きるのを通り越してうざくなってきた
そう思うと苛立ちが募る
体が動かないのがこれでは最悪だ
ああ
むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく

ああ
こんなもの全て
■■してやりたい

「その願い叶えてやろうか」
その瞬間
目の前に立っていた
さっきまでそこには何もいなかったのにそこに立っていた
そこに立っているのは女性だった
年は14ぐらいの少女であった
髪は白で長く背中まで届くぐらいのロングヘア
身長は150~155の間くらい
顔は可愛らしさと綺麗さを合わせた美を三個ぐらいつけてもいい造形だった
服装は何だか中世のお姫様が着てそうなドレスを真っ黒にしたものであった
そして何よりも印象的だったものは
その瞳のアカさせあった
炎よりも紅く血よりも朱いアカ
この地獄の中でも尚アカく輝いていた
何故だろうか
どこからどう見ても人間の美少女
しかし俺はこの少女を人間と定義するのは間違いだと本能的に思った
何故だと思っていたら気付いた
この場所
この地獄にあまりにも似合いすぎている
まるで地獄を住処にしているようなものだ
この美もそう異界の美
魔とも呼んでいいくらいだ
美しすぎるものには魔が宿る
まさにその権化だ
そして願いを叶える
となるとあほらしいがこの少女は

「そう賢しいわね。私、悪魔なの」
心を読んだのか
俺が考えていたことを言う
それにしても悪魔ときたか
まぁ、地獄があるくらいだ
悪魔がいてもおかしくはないだろう
その悪魔が一体何の用だろうか

「だから言ったでしょう。貴方の願いを叶えてあげるって」

そう言ってそいつは唇を三日月の形に歪めて笑う
その笑みを見て確信する
さっきまでは半信半疑だった
死に際に幻を見たのだと思っていたが違う
こいつは

真性の■■■■だ

「話が早くて助かるわ。ねぇ、だからその願い叶えてあげましょうか」
ケタケタ笑いながらそう囁く
まさしく悪魔の囁きだ
俺の願い
俺の願いとは一体なんだろうか

「あら、忘れたフリをしてるの。それとも目を背けたの。さっき貴方願ったじゃない。全てを■■したいって」

耳がおかしくなったのか
言葉の途中でノイズが走る
肝心なところが聞こえなかった

「ああ、最高の匂いがしたわ。何せ私が惹きつけられるくらい傲慢で、醜く、おぞましくて、最低に最高だった!ああ、きっと食べたらそれだけでイってしまいそうだったもの!グッと来た!最高の逸材よ貴方!」

いきなり悪魔が嗤いだす
言ったいる意味がよく解らない
さっきまで人の意志を無視して理解しようとしていたくせにこういう時に邪魔をする
まぁ、そもそも悪魔が語っていることを俺が理解できるはずがない
悪魔の嘲いはまだ続く

「きっと貴方は私と契約したら最強最悪の存在になれるわ!人を辞め悪魔を超え神を殺す!とんでもなく異常で、とんでもなく埒外で、とんでもなく常識外!そういった存在になれるわ!」

一体この悪魔は何が言いたいのだろうか
ぼうっとしてきた意識でそれを考える
まるで願いを叶えたら俺はナニカに変わるみたいに言っている
悪魔は魂を奪うだけじゃなかったのだろうか
悪魔は答えない
ただ嗤う
黒い狂気は地獄の中で更に黒々と輝く
そして悪魔は同じことを繰り返す
その言葉こそが悪魔の定義なのだから
唇を三日月に歪めた悪魔はただ要求する
契約のサインを

「その願い叶えてあげましょうか」

そして俺の意識は消える
視界は黒色に染まる
悪魔色に



あとがき
すいません
もう趣味に走った内容です
ストーリーは滅茶苦茶変わると思います
魔法以外にも新しい力や設定も加えます
こういうのが嫌いな方は読まない方がいいです






[27393] 第一話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/04/25 19:22

「いい加減に起きなさい!風雷慧!」

その声で無理矢理起きてしまった
一瞬の自分の喪失
そのあやふやさを心地よく思う
数秒でようやく自分を取り戻す
しかし今度は今の状況の理解が遅れている
頭の理解の遅さを五感が自動的に補正する。便利な頭だ
視覚は風景を
嗅覚は人がいる証を嗅ぎ取り
聴覚は人のざわめきを
触覚は堅い木の感触を
味覚は別に何も
それらの情報を頭の中で整理してようやく今の状況を理解する
ここは聖祥小学校一年の教室
時間は外を見る限り放課後だろう
じゃあ周りのざわめきはクラスメイトが帰ろうとしているからでであろう
昨今の若いやつらは落ち着きが足りないなぁと自分も昨今の若者だということはとりあえず棚に上げる
そしてようやく本題?
俺を睡眠という名の安楽地獄から目を覚まさせた諸悪の根源の方を見る
目の前にいるのは平均身長ぐらいのロングヘアな少女である
しかしこの少女。他の子供と違って違う所がある
それは金髪でつり目なところだ
もう一度言う
金髪でつり目なのだ
サーヴィスにもう一度
金髪でつり目なのだ
自分のサーヴィス精神の大きさに自分でもびっくりだね
後五回ぐらい続けたいが話が進まないので仕方なく断念しようではないか
世界の修正に感謝するがいい
アリサ・
「バーニング」
「そうそう、燃え上がる魂、熱き鼓動、進は紅蓮の道。その名はアリサ・バーニング!!ってアホか!」
素晴らしい。ここまで自爆してくれるといじめ甲斐があるというものだ
では続けようか。悪魔の加護の下で
「すまない、故意だ」
「そう、それなら仕方ないわね。じゃあ私は寛容な心で貴方を滅殺するのが人として正しい判断かな」
おおっと、意外とアグレッシブな
「すまない、恋だ」
「「そう、それなら仕方ないわね。恋とはまさしく燃え上がるような想いだものね。それならバーニングと間違えてもってんなわけあるかい!」
しかし二度ネタは減点だな
まだまだツッコミの経験が足りんな
「で、何の用だ。用がないなら帰らさせてもらうぞ」
「あんたのその一瞬の切り替えには私もついていけんわ。はぁ、一応の義務だから聞くけど一緒にかー」
「だが断る」
「なんで一瞬で断るの!」
「あ、アハハ」
いきなり声が増えた
まさか
「バニングス!ついに影分身の術を覚えたかっ。流石人外!」
「あんたの中での私は一体何に分類されてんのよ!しばき倒すわよ!」
「ははは、何に分類されているかなんて鏡を見給え。一瞬で理解できぐわっ」
「アリサちゃん!ダメだよ、ただでさえおかしい風雷君の頭を叩いたら更におかしくなっちゃうよ!」
「なのはちゃん、本音が漏れているよ」
仕方がないのでそちらを見る
そこにはまぁ、バニングスと並ぶ美少女と呼んでいいだろう少女が二人立っていた
一人は高町なのは
身長は三人の中で一番小さく髪の毛は栗色でツインテールで束ねている。語尾になのをつける可哀想な人類だ
もう一人は月村すずか
身長はアリサと同じくらいの身長で髪の毛はカラスの濡れ羽色でストレートに下している。清純というのがよく似合っている女の子だ
そして個人的だが俺は高町が苦手だ
何故かというと
「さぁっ、今日こそ名前で呼んで!」と強制してくるのだ
もはやストーカーと呼んでもいいレベルだ
なるほど
「高町は変態だったのか……。まぁ、特別驚くような事ではないか」
「いきなり自己完結しないでなの!ていうかどうしてそんな結論に!」
「ああ、確かになのはのそれはもう呪いレベルだものねぇ……」
「ごめんね、なのはちゃん。フォローできないよ」
「いじめだよ!」
「「「Yes,correct!」」」
「ふぇーん!」

これが俺
風雷慧の日常
あの地獄から戻ってきた日常だ
大切なものは地獄(あそこ)で失くしたが



[27393] 第二話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/04/26 22:02

結局今日も高町ストーカーから難なく逃げて街を彷徨っている
いつも通り
俺らしく
断っておくが別に俺は高町自身を特別嫌っているとかではない
……苦手にはしているが
バニングスも月村もそうだ
むしろ今の若者の事(自分も含めて)を考えると今時珍しすぎるタイプだろう。多分だがあいつらは他人のために命を張れる素晴らしい馬鹿だろう。人間としては最高クラスの人間だろう
よくあんな希少種になれたもんだと度々感心する
よほどご両親の教育が良かったのだろう
ん?
じゃあ高町の家族も高町みたいな性格をしているのだろうか?
………一家総出でストーカーか。いやらしい家族だ
なるほど。確かに希少種だと改めて実感をする
個性が薄い俺から見たら憧れはしないが感嘆はしてしまいそうだ
心の中で自嘲する
実際の顔の筋肉はまったく動かないが
すると今日見た二年前の夢を何となく思い出す
あの火災
あの地獄
そう
あの時
あの場所は地獄であった
生きる希望は光の速さよりも速くなくなり
絶望は絶望しすぎて感じられなくなる
否、絶望こそが当たり前だと認識してしまうが故に絶望を感じれなくなってしまう
そんな地獄
それが地獄
その中から何を間違ってか生還してしまった
本当に、本当に運よく助けが間に合ったらしい
奇跡だとよく言われたものだ
だがしかし、しかししかし
生還した少年は地獄を体験する前の少年ではなくなった、いや亡くなったと言った方が適格かもしれない
あの地獄を経験した後、もう既に俺は今までの俺ではなくなったからだ
喜ぶことができなくなった
怒ることができなくなった
哀しむことができなくなった
楽しむことができなくなった
笑うことができなくなった
つまり感情を表すことができなくなった
医者が言うには自己のショックで感情を出しづらくなったのだろうという一般論を言ってきた
別にそんな一般論は興味がない
重要なのは治療法がないということだ
当たり前だろう
別に病気や怪我ではないのだ
治す方法なんてない
そして何より俺が治す気がない
治そうとする気力がそもそも欠落しているのだ
治るはずがない
そう
だから俺は理解できない

何故高町はあんなに必死になって友達になろうとするのか

まったく理解できない
何で友達が必要なのだ
何で他人を信用しなきゃいけないのだろうか
まったくもって理解できない
あれなら殺人鬼の方が理解できる
結局はそういう事だろう
地獄から無事救出されたと思われた少年は実質命を救われた代わりに救われない生き物になったのだろう
まぁ、こんな思考はただの被害妄想だろう
考えるだけで馬鹿らしい。そう考えると自己嫌悪がふつふつと湧き上がる
その自己嫌悪で思わず
■■してしまいそー



一瞬の空白
ついさっきまで何を考えていたのか思い出せなくなる
自分の迂闊さに自分で呆れる
そう、確か夢の話だっただろうか
あの夢も別に久しぶりというわけではない
というか一週間に4、5回のペースで見ている
いい加減何度も同じ映画の同じシーンを見ているみたいで飽き飽きしている
だが唯一気になるところがある
あの少女
人の形をした悪魔
あの唇を三日月に歪めて笑うあの不気味すぎる笑み、あの嗤い方
今でもはっきり覚えている
しかしあら不思議なことにあの少女はあれ以降一度も会っていない
やはりあの火災の中で現実逃避をするために自分が生み出したただの妄想の産物なのか。
だがそれにしても

あの悪魔の嘲笑は
嫌でも゛本物´だと実感させる

自分でも馬鹿らしいと思うが思うことは止められない
あれは悪魔なのだと
人の魂を契約で貪り食らう化け物だと
それ故に疑問がもう一つ残る
俺は
俺はあの悪魔に対して何を願ったのだろうか
その答えもあの地獄に置いてきてしまった
知ろうにも覚えていない
聞こうにもその対象がいない
あの地獄の中、俺は一体何を願ったのだろうか
それが唯一の自分の目的かもしれない
それを知ったら俺は
変われるだろうか………
答えは誰も知るはずがない
それこそ悪魔の知恵がなければ
……………………………
いらないことを考えすぎたようだ
目の前には図書館がある
丁度いい
暇つぶしに本を読もう
そう思い目の前の建物に入ってく
いつも通り
適当に



[27393] 第三話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/04/27 22:47

よいしょ、よいしょと車いすを足場にして私、八神はやては目当ての本を取ろうとするがこれがなかなか取れない
まぁ、足場にするいうても足は動いてないから足場じゃないんやけどな
と自分にツッコミを入れながら頑張って目当ての本を取ろうとする
さっきも言った通り私の名前は八神はやて
普通なら小学校に通っているはずの子供や
そう普通なら
実は私は両親が既に他界しており、しかも両足が動かないというマイナスのステータスを持っているんや
簡単に言うなら不幸の美少女ていうやつやな
…………はい、そこ
自分で美少女言うんやないとかツッコまない
そう一人寂しくボケながら本を取ろうとする
寂しく
そう、私はこの孤独の状況を寂しく思っている
でも、私は学校に行くのには少し気後れする
別にお金がないとかいう世知辛い理由ではない
足のせいで他人に迷惑になる…………とも思っているけどそれは多分言い訳、いや綺麗事やと思っている
多分私は見たくないのだろう
家族がいて、元気に走り回っている自分と同い年の幸福満点の子供を
私も人間
他人を好ましいとも思うし、嫉妬もする
世の中にはそれでも我慢するような人がいるのかもしれないけど、私はそこまで人間ができてないいんや
だから黒い感情が生まれても我慢することはできないんちゃうかと思う
だからあんまり学校に行きたくない
……まぁ、こんなのはただの引きこもりの言い訳かいなぁと思いながら再び本に手を伸ばす
……………むぅ、取れへん
あとほんの数センチ
あとほんの数センチが取れへん
仕方ないから周りの人に助けを求めるか、もしくは諦めようかの二択を考える。別に誰かの手を借りてまでして見たいというわけでもないので諦めようかな~と思っていると
いきなり目当ての本が後ろから抜き取られた
一瞬、思考と動きが止まる
しかし直ぐに両方の動きを再起動する
きっと親切な人が本を取ろうとして取れない自分を見て手伝ってくれたのだろうと思いながら、ゆっくり振り返ろうとする
そういえば、後ろから伸びてきた腕はそこまで高い位置にない
もしかしたら自分と同じくらいの子供かもしれない
そう思いながら振り返る
本を取ってくれた礼と本を受け取るために
そして後ろに立っている人を見た瞬間

今までの自分の価値観が木端微塵に壊れた

目の前に立ったいたのは少年だった
年は予想通り自分と同い年くらいで
背はこの年頃の子供の平均身長くらいで、体格は結構がっしりしてるような気がする
髪の毛はやや長く、しかし伸ばしているというよりもほったらかしにしている感がでている
しかし問題はそこではない
他の特徴はどうでもいいんだ
そこらへんはどこにでもいる少年だ
問題は顔、詳しく言えば表情

そこには何の感情も浮かんでいなかった

思わず息をのむ
こんな顔をする人間。大人、子供を含めて見たことがない
普通に言えば無表情と言えばいいのかもしれないが、普通の無表情はここまで『無』に近づけない。無表情といえどもそこには少しは感情を含んでいるはずなのだから
しかし彼の表情はまさしく『無』表情だ。
何の感情も無いのだ
どうしたらこんな人間になるのだろうか
そんな風に思っていると目の前の少年は可愛らしく首を傾げて
「あれ?これが目当ての本だったのではないのかね」
と問いかけてきた
意外にも声には希薄だが感情を読み取ることが出来た
そのギャップに戸惑いながらも
「ええと、あ、ありがとう……」
とどもりながらも本を受け取った
そしたら彼はうなずぎそして直ぐ近くの空いてる席に座りながら本を読みだす
しばらく放心状態になりながら彼をじーと見てしまう
すると案の定
「何か用」
と質問されてしまう
こちらはただぼーとしていただけなので何も思いつかず少し焦ったがとりあえず目の前の本をネタにした
「ええと、な、何を読んでいるんや?」
「ん、今はやりの謎探偵ゴナン。持ち前の暴走と子供らしい安易な発想で犯人を突き止め周りのおっさんに睡眠薬をぶちこんで特技の声帯模写をして謎を解き明かす漫画。ただ子供なので時々犯人を冤罪で捕まえたり、睡眠薬の多量接種をさせてしまい、周りのおっさんが死んでしまうけど、その時は「ミスっちゃった!犯人さん、おじさん。許してピョン」という独創的な漫画」
「………………かなり前衛的な漫画やなぁ」
「言葉を選ばなくてもいいぞ」
思わず半目になってしまうのは許して欲しいと思う
そこではたと気づく
普通に会話が出来ていることを
自分は多分だが人見知りが超激しいと思っていたのに
この不思議すぎる少年には何も思わなかった
それを不思議に思いながら、口は意志に逆らって言葉を紡ぐ
「あ、あの。私、八神はやて言うんやけど君は?」
「風に雷。そして慧眼の慧で、風雷慧」
即答だった
私は何をしたいんやろうと思いながら言葉を紡ぐ
何も考えてないということは本心を勝手に語ろうとしているのだろう
口は動く
己の無意識を表すために
「ま、また会えへん!」
己の願望を
この不可思議少年との再会の約束を
まだ会って三分ぐらいしか経ってないのに
多分だがこの少年に惹かれたのかもしれない
この少年の非人間性に
答えは簡潔だった



[27393] 第四話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/04/28 22:34
図書館に行った翌日。八神とは約束はできないが会えたらまぁ、会ってやろうという約束をした
というわけで再び聖祥学校の教室
既に時間帯は放課後
つまり帰宅時間
ああ、何て素晴らしい時間
学校が終わったと自覚した時本当に幸福だと思ってしまうのは学校に行っている人で理解できない人はいるだろうか、いやいない!
その幸福に浸りさぁ、帰ろう♪と思っていたら
「待ったなの!」
と叫ぶ声
最上級の幸福の時間は一瞬で壊れた
小さいけど、しかし確かに幸福だった俺の時間はたやすく、呆気なく壊れてしまった
だから高町に角度45度からの鋭いチョップを入れたことを悪いと思う人間がいるだろうか
いたら征伐してやる
「いたっ!お、女の子に手をあげるのはいけないことだと思うよ!」
「やかましい。そして俺からの有難い言葉を一つ言ってやろう。耳の穴を増やしてよーく聞け。この世は男女平等だ」
「立派なことを言ってるけど、それを言い訳に叩いてるようにしか思えないの!というか耳の穴は増やせないの!」
「なに?高町、俺の言う事を聞けないなんていつからそんなに偉くなったんだ。後で掃除ロッカーに突っ込んでやる。入り口をガムテープで止めて」
「いじめだよね!いじめだよね!大切なことだから二度いうよ!」
「で、何の用だ」
「今までの会話は一体何だったの!」
見ればいつの間にか残りの二人がやってきた
こいつら他に友達がいなのかと自分を棚に上げてこの三人の交友関係の心配をした
「と、とにかく、今日こそやってもらうからね!」
高町はいきなり目的語を抜かしていきなり戯言をほざきやがった
今日こそやってもらう?
そんなに何か高町から要求されていたことがあったか、自分の記憶を点検するがまったく身に覚えがない
だが高町は必死に頼んでいる
ならばこちらもちゃんと考えねばと思考する
いや、待て
もしかしたら高町が言っていることの漢字変換を間違えたのかもしれない
頭の辞書を使ってレッツ漢字変換
やってもらう→殺ってもらう
まさか高町にそんな自殺願望があったとは人間とは見かけや性格からは解らないもんだと理解する
いや、しかしまだ他にもあるかもしれない
もう一度よく考えてみよう
やってもらう→ヤッテもらう
なるほど、これが最近の問題の性の乱れという事か
政治家の人たちが慌てるのは無理もないと現場の苦労の一端を思わぬところで得てしまった
だがしかしまだどちらが真実か決定していない
どちらを取るかによって高町の人間性が変わる
これは心してかからなければと誓い真剣に考える
「あ、あの~、何でそんな今まで見たことはないくらい真剣に考えてるの」
「何を言う。今まさにこれからの俺が高町への態度を決定的に変わるかもしれないという瞬間なんだ。真剣に考えなければ失礼だろう」
「!?あ、ありがとう慧君!」
感謝された
ここまでされたなら答えを出さなければ、誠意にならない
ならば後は今までの高町の知識で答えを出すしかない………
考える
高町と言えば……
そうだ、そうだったではないか
まさか忘れていたとは、我ながら忘れっぽいと思う
今度メモ帳を買おうと心のメモ帳に書いとく
そう
高町は
いやらし子だったではないか……
だから答えは後者だ
なるほど
欲求不満なのか
まだ子供なのにと思うが人それぞれだろう
ならば答えなければいけない。自分の意志を
「すまないな、高町。俺はお前と違って健全なんだ」
「私のお願いをどう解釈したらそうなるの!!」
ドンガラガッシャー!と何やら机や椅子が倒れる音
見ればバニングスと月村が勢いよく倒れている
スカートの中身がよく見える
白と青か……
若いなと思う
だが高町の反応を見るとどうやら不正解のようだった
ではまさか答えは前者だったのだろうか
解らない
もうここまで来たら本人に聞いてみよう
「では、何なんだ」
「ただ名前で呼んで!って言いたかっただけなの」
ああ、なるほど。こっちとしてはケリがついたこととしていたのでその発想はまったくなかった
だから言おう
「断る」と
「むぅー!いい加減素直に言って欲しいの!」
「素直に断ったはずだが……」
この少女の頭の中では俺が本当は名前で言いたいんだがみたいな変換を勝手にしているのだろうか。幸せな頭だな
「むぅ、じゃあ今回は諦めさせてもらうけど……」
おや、諦めがいい
それに不安を覚えてしまうのは気のせいだろうか
その不安を現実にするかのように高町の言葉が続く
「そのかわりお願いがあるの」
「お願い?」
不安が徐々に大きくなる
嫌な予感は嫌な現実を引き寄せるという俺の経験が痛いくらい主張している
「つまりね」
ようやく体制を整えたのか月村とバニングスも会話に入ってくる
不味いと心の警戒音が響きまくっている
そして締めは月村が言った
「これからなのはちゃんのお家で遊ばない?」
その瞬間
俺は窓から逃げた
ここは二階だが、これぐらいの位置からなら無傷で着地できる技術ぐらいはある
今までの経験に感謝
自分の状況判断と条件反射に感謝した
だが、着地予想地点の場所に何やら見知らぬお姉さんが立っている
髪の毛は三つ編みで野暮ったい眼鏡をかけていて、年齢は高校生くらいで帰りなのか制服を着ている
身長はその年齢の女性の平均身長くらいで小柄だがしかし引き締まっているという感じがしており、その野暮ったい眼鏡の下は美少女と言ってもおかしくないぐらい整っていた
その唇はすこし驚きに歪んでいた
しかしそれは人が落ちてきたことに驚いたという感じではなくむしろ
本当に落ちてきたという表情だ…………!
しまったと後悔するが遅い
空中では身動きができない
その女性の手が伸びてくる
こちらを捕まえるために
こいつらグルかと捕まる一瞬で思った
まさか高町達に出し抜かれるとは抜かった
勿論奇跡など起こらずあえなく捕まってしまった
とりあえず明日高町を掃除ロッカーに一時間ほどぶち込んでやろうと決心する


あとがき
すいません、物語の進行が遅くて
あと、感想掲示板で色々言われていますが、駄作であるのは自分でも解っていますし、厨二臭いのは百も承知です
だからこんなものは見たくないと思っている方は見なくて結構です



[27393] 第五話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/04/30 18:24

いつもの我が喫茶翠屋
しかし今日は少し店じまい
久しぶりの休暇なのだ
最近家族での団欒をしていなにので丁度いいだろうと思って桃子と一緒に提案したのだ
それに前の仕事での事故のおかげで家族みんなに迷惑をかけてしまった
特になのはにはつらい思いをさせてしまった
不幸中の幸いか
なのはにも友達ができて毎日の学校を楽しく過ごせているようだ
それが何よりも嬉しかった
今日はその友達も連れてくるらしい
良いことだ
アリサちゃんとすずかちゃん
二人ともいい子だ
しかも不思議なことにすずかちゃんのお姉さんの月村忍ちゃん
彼女は何と我が弟子にして頼れる長男の恭也の彼女なのである
縁とは面白いものだ
二人の関係は良好そうだ
時々なかなかの甘々空間を作成している
思わず美由希が泣いて「痛い!私の青春が痛い!」と意味が解らない叫びをあげながら逃げたぐらいだ
ふふふ、しかしまだ桃子と俺のいちゃいちゃ固有結界にはには勝てんなぁ
俺たちの固有結界に勝ちたければこの三倍をがっ
「も、桃子。どうして皿を俺に向けて投げるのかなぁ?」
「あらあら、私も解らないの士郎さん。ただ何か士郎さんが変なことを考えているように感じたかしら?つい」
鋭い
不破家にもこれほど鋭い人間はいなかったかもしれない
流石俺の桃子
そういえばとふと美由希で思い出す
今日はアリサちゃんとすずかsちゃん以外のなんとなのは初の男友達を連れてくるらしい(強制)
本当はアリサちゃん達と仲良くなった時と同じくらいから知り合っていたはずなのだが如何せん、何だか付き合いが悪いらしい
例えば、名前で呼んでと頼んでも名前で呼んでくれないとか
例えば、一緒にお昼を食べようと誘おうとしたら逃げるとか
例えば、一緒に帰ろうと誘おうとしたら逃げるとか
例えば、なのはをいやらしい子扱いするとか
例えば、なのはを罠にかけて男子トイレに侵入させたとか
…………あれー?
何だか殺意が湧いてきたぞー
ははっはっはっはははははははははははは!
まずは軽い『挨拶』からしおうかなー
お父さん頑張るぞー
「父さん。考えていることは大体わかるが殺気は抑えてくれ」
「ははは、今日は士郎さん」
「ん?やぁ、忍ちゃんに恭也」
噂をすれば影とやらか
二人とも高校から帰ってきたか
美由希はなのは達への迎え兼なのはの男友達を捕まえる為に聖祥学校へ
どうやらその子逃げるとなれば手段を選ばず、二階から飛び降りたりするらしい
一度それをした時誤って空手黒帯の体育教師の上に着地してしまい壮絶な殴り合いが起きたらしい。やんちゃで元気な子供だ
「今日は二人とも早かったなぁ。どうしたんだい?」
「いや、忍が………」
「だってぇ、なのはちゃんもそうかもしれないけど、うちのすずかにとっても初の男友達だよ~。気になるじゃない恭也。それにいつもすずかからご飯の時やら色んなときに聞かされるのよ~。風雷君、風雷君て。」
一瞬誰かと思ったがすぐに思い出す
そう確かその男の子の名前が風雷慧という名前だった
珍しい姓だなぁと思っていたのだ
だが、そんなことよりも
「ほう、それは驚きだね。すずかちゃん、そんなに彼の事を話しているのかい?」
意外だった
すずかちゃんはもう何回か会ったが、そんなに他人をそれも男の子について話題にするというようなタイプではないと思っていた
そこらへんは最初らへんの忍ちゃんに似ている
この娘も周りの何故だか知らないが壁を作っていた
きっと理由ありだろうと思う
だが、今は少なくとも恭也に対しては心を開いている
壁を作っていた理由を忍ちゃんから聞いてそれでも一緒にいると誓ったからだろう
今はそれだけでいい
いずれ俺達にも話してほしい
それが親というものだろう
話が逸れてしまった
しかし忍ちゃんの話を聞いているとなのはが言わなかった風雷君について知ることが出来た
曰く
喜怒哀楽がない子だとか
非人間的魅力があるとか
いたずら好きとか
一度も笑わない子だとか
喧嘩慣れしているとか
等々何だかそこまで褒められたような事ではなかった
というか、その

人間だろうか

そんな思考をしていた自分に愕然とする
頭を振ってその思考を消そうとするが消えない
大体一度も笑わない人間などいるはずがないだろう
感情は隠すことはできても消すことはできないが俺の持論である
そんなことが出来るとしたら植物人間か死人くらいだろう
生きているのならその束縛からは逃れられない
そう思う
「はは、やっぱり士郎さんもそう思いますか」
見ると忍ちゃんも苦笑している
困ったという感じで
「でもですね。すずかは同じことを言うんですよ。「きっと彼はどんなことも受け入れられる。能動じゃなくて多分受動的だと思うけどって」。すずかがここまでずけずけ人の事を評価するの初めて聞きましたよ」
苦笑しながらも何だか嬉しそうだ
きっと嬉しいんだろう
妹が他人の事を話題にあげてくれるのが
それを聞いて自分もハッと気づく
そう、例え本当にそんな子だとしてもなのはの友達でいてくれているんだ
なら、悪い子ではないだろう
我ながらみっともない
まさか自分よりも遥かに年下の女の子に教わるとは。俺も修行が足りないな
その後暫く三人で途中で桃子も入り談笑していると

「……ほ…いいか……かんね……!」
「諦め……がいいな……!」
「………風雷君………いこ………?」
「あ………わかって……もう遺言………した」
「…………まに、そんな…………のかなぁ?」
そしたらようやく子供グループの到着のようだ
意外と長いことかかった
きっと例の彼が嫌がって抵抗したのかもしれない
若いなぁと思う
「さぁ、迎えに行こうか」
「ええ」
「ああ」
「はい」
三人とも息をそろえて返事するのに苦笑して四人で立ち上がり玄関の方に行く
もう玄関の方に立っているのを気配で感じ取っている
どうやら美由希がドアを開けようとしているようだ
「今開けるぞー」
とこちらから声をかけあっちの動きが少し止まる
だが直ぐに返事が返ってきた
「うん、わかったお父さん。あ、あと、驚かないでね」
いきなり意味が解らないことを言う娘だ
一体何に驚くというのだろうか
四人で首を傾げる
もしかして風雷君が来ることはサプライズということにしているのだろうか
娘ながらボケているなぁと思う
みんなその話はなのはから聞いたのになぜ忘れるのだろうか
苦笑しながらとりあえず話に乗ってあげることにした
「はいはい、わかったから開けるぞー」
そして遠慮なくドアを開ける
瞬間
美由希の言っていた意味を理解した
彼の姿を見た瞬間

理解させられた




無理矢理拉致られて高町の家にお邪魔して数分
今、俺たちは

大乱〇で白熱していた

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら!!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!」
「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
「……………………ダメ、私、ついていけない……………」
上から俺、バニングス、月村姉、高町、月村妹の順番のコメントだ
ちなみに今の俺たちのバトルの様子は
「くっ、何でそこまで見事にカウンターを決められるの!?動体視力良すぎだよ風雷君!」
「月村姉も何でそこまでファ○コンパンチを上手いこと決めれる!こっちからしたら痛恨の一撃だ」
「ちょ、なのは!さっきから卑怯よ!ステージ端で飛ばされてようやく戻ってきたのにその度に吸い込んでまた吐き出して場外に飛ばすなんて!女なら真正面から堂々と戦いなさい!人気にでるわよ!」
「止めてよ!そんなリアルな事を言うの!だ、大体アリサちゃんだって、場外に少しでも出たら空中下攻撃をかまして直ぐKOするじゃない!人が弱っている隙にえげつないことしてるよ!」
「…………あれ?私、影薄い?」
とこんな感じで盛り上がっていた
本当ならこの○ームキューブは四人対戦なんだが月村姉が改造して6人までいけるようにしたらしい。大丈夫なのだろうか?具体的に言えば法律関係」
結局勝者は月村姉だった。いや何であんなに上手いことファル○ンパンチを決められるんだろうね
そうやって上手いこと区切りがついた所に狙ったようなタイミングで高町母がお茶などを持ってきてくれた
多分高町はこの人から大量の遺伝子を貰ったのだろう。髪の色や顔がそっくりだ
「ありがとうございます。高町母」
「うふふ、別にいいのよ。何せなのはの初めての男友達だもの。でも、とりあえず高町母じゃなくて桃子さんと呼んでほしいんだけど」
「ははは、いやいや、そんな私などにそんなことは出来ません」
高町の性格は親譲りか
病名高町症候群と認定
これにかかると相手のことを名前で言わないと気が済まなくなる。重度になると相手に強制する。救いがたい病気だ
気を付けなければと肝に銘じる
そうやって油断したのがいけないのか。何を思ったのか知らないが急に高町母が急に頬を掴んできた。考え事をしていたので反応できなかった
「にゃにひょしゅりゅんでゃすか」
掴まれたまま喋ったので変な言葉になってしまう
見れば他のみんなもいきなりの行動に驚いたり首を傾げたりしている
しばらく頬で遊んでいた桃子さんからようやく返事が返ってくる
「いやね、その、笑わないなと桃子さん思ってしまって」
「……………………………」
ああ、なるほど
見れば気にしている大人連中や高町達も耳を傾けている
そういえば言ってなかったか
別に隠すようなことじゃないから言ってもいいけど。何だか不幸自慢みたいになってしまうからあんまり言いたくないのだ
「いえ、別に。特別なことがあってこうなったんじゃないですよ。ただ、デパートの火災に巻き込まれたらこうなっただけです」
「…………………十分大事だと思うけど」
「もう一度言います。別に。そんなの国で見たらよくあることですし。世界の視点で見たら大量にある事故の内の一つです。特別なことじゃないですよ」
そうどこにでもあるような事だ
あんな地獄、世界のどこにでもある
俺はただその内の一つに触れただけ
黙った高町母の代わりに高町父が代わりに話す
「まるで…………他人事のように話すね、君は」
そうだったかなと首を傾げてみる
別にどうでもいいことだろう
「…………一つ聞きたいんだが」
今度は高町兄か
「何でしょう?」
「…………君のご両親は」
今度はそっちねと思い素直に答える
「ええ、目の前でその火災で死にましたよ」
その一言で空気が凍る
はて、何か変な事を言っただろうか
解らず悩んでいると
「………変だよ」
と高町がボソッと呟く
言葉は続く
「おかしいよ。どうしてそんな風に自分の大切な人が死んだのにそんな無感動で入れるの?どうしてそんな酷い目にあったのにそんな無感動でいれるの?どうして、どうしてなの!」
最初は探るようだったが最後のほうは言葉を矢の用に飛ばすぐらい感情が込められていた
何か高町を揺るがすような事を言ったのかもしれない
だが
「じゃあ、何だ。悲劇的に言えばいいのか」
「っつ」
「悲劇的に言ってみんなからのお涙頂戴。素晴らしく泣ける話だね。高町が言いたいことはそういうことかな?」
「わ、私が言いたいのはそういうことじゃ…………」
「同じさ。しかしこれだけは言わせて貰おう
同情なんかいらない
憐みなんかいらない
そんなものはうっとおしいだけだ。反吐が出る。
同情していいのは人を助ける時だけだ
それ以外のはただの憐みという名の見下しだ」
「ふ、風雷君。言い過ぎだよ…………」
「そうか。とは言っても俺の持論を話しただけだ。別に理解しなくてもいい」
そう言ってあっさり話題を断ち切る
雰囲気はさっきまでの賑やかさから考えられないぐらい最悪になってしまった
確かに言い過ぎた
何か言ったほうがいいのかもしれないが生憎そこまで口は達者な方ではない
どうしたものかと思っていると
パン!と手を叩く音が聞こえる
見れば高町姉が手を合わせている
これはまさか………!
「高町姉、まさか………人体錬成を……!」
「駄目よ美由希ちゃん!持ってかれるわよ!」
「ふむ、でもこのシーンは恭也が立場的にしなければいけないのではないか?」
「そして美由希は鎧になるか……」
「な、何でそうなるのー!」
俺、月村姉、高町父、高町兄のコラボレーション突っ込み
うーん。座布団一枚だ
では要件は一体なんだろうか?
「えーと、今日はお泊り会でしょう?だから、そろそろ用意とかをした方がいいんじゃないのかなーと思って」
「ほう、美由紀希の言うとおりだな。部屋の用意とかしないといけないからな」
ほうほう、今日はお泊り会だったのか
では、邪魔にならないうちに
「とこに行こうとしているの、風雷」
「………ちっ、トイレさ」
「………今露骨に舌打ちをしたよね。というかトイレに何故荷物が必要なのかしら。私聞きたいなぁ」
何故かってそんなの決まってる
「実はこの中には俺専用のトイレットペーパーが…」
「何でカバンの中にそんなのをいれているのよ!」
馬鹿な、いざという時に便利だぞ
「ふぅ、でも古典的な失敗をしてるようだから言うけどーートイレそっちじゃないわよ。そっちは出入り口だけ」
なん、だと
「バニングス、一体誰がそんなことを決めた」
「いや、誰が決めたとかじゃなくて」
「馬鹿者!答えがただ一つだけと決めつけるんじゃない!」
「え?何。私叱られてるの?」
「いいかバニングス。答えが一つなんて誰が決めた。誰も決めてないだろう。なのに答えがただ一つしかないと決めつけるその思考はただの諦めだ」
「!?」
「だが、俺は諦めない。地べたを這いずり回ろうが、泥水を啜ることになっても俺は諦めないぞ」
「風雷……」
「さぁ、行くぞ!!」
「待てやこら」
「ちい」
騙されなかったか
高町辺りなら誤魔化せていたはずなんだがな」。ふん、なら理論で片付けさせてもらう
「大体な、いきなりすぎて何も用意などしておらんよ。例えば服とか」
「確か恭也の子供の頃の服がまだあったわね」
「ああ、まだ押し入れにあったはずだ。サイズは見たところそこまで変わらないみたいだ」
高町兄、高町母、余計な真似を
「た、例えばよくあるお泊りセットとか」
「父さん、確か余りの歯ブラシとかあったよね」
「ああ、確かここに……あったあった」
ブルータスよ、お前もか
「ほ、ほら、飛び入り参加だから部屋が空いてな……」
「じゃあ、慧君の布団は恭也の方にしいとくわね」
「ああ、構わない」
に、逃げ道が
「ほ、ほら、高町家に金銭的な負担が」
「あらあら、子供が三人増えたぐらいなら大丈夫よ」
お、己!
「う、家の冷蔵庫に今日中にやらなければいけないものが」
「後でこっちで弁償してあげるわ」
止めて!俺のライフポイントはとっくにゼロだぞ
「じ、実は枕が変わると眠れないんだ!!」
「ダウト!あんた机の上で毎時間グースカグースカ寝てんじゃない!!」
ちぃ!退路は断たれたか
ならば手段はただ一つ
「こうなったら無理やりいかせてもらう!!」
「ほう、小太刀二刀御神不破流を前によくぞ吠えた少年!」
数分後あえなく負けてしまった
みんなからは筋がいいと言われたがそれは嫌がらせでしょうか



ぎぃぃぃぃぃ、ばたん
十年くらい慣れ親しんだドアが開く音で俺は目を覚ました
目を開けるとそこには慣れ親しんだ俺の部屋の天井
今日はなのは達の友達のお泊り会で部屋の中にはその友達の一人の少なくとも俺の知り合いの中で一番複雑怪奇な子供と一緒に寝ていたはずだ
目を彼が寝ていた方に向けるとそこは空っぽ
やはり、彼が出て行った音らしい
それにしてもドアが開くまで気づかないとは
彼は驚くほど気配を断つのが上手い
それに何故だか大体が我流だが体術の心得があるらしい
でなきゃいくら父さんが手を抜いたからといって数分ももたないだろう
誰に教わったのかと聞いてみると
「超野蛮な山猿から教わりました。何と無礼なことに人間であるとか言っていますが」
とか言っていた
何でも散歩していたら急にその顔気に食わん!ほわちゃーとか叫んできてバトルになってそれ以降出会ったら訓練という名の殴り合いを
しているらしい(それを警察に見られて危うく捕まりそうになったが山猿をフレアにして逃げたとか言っている)
お互い名前も知らないとか。それなのによく出会うらしい
それにしても何処に行くのだろうか
眠れないのだろうか
心配になって起き上がった
気配を探ってみると彼が行こうとしている方向は

「屋上か………」
直ぐに向かった。
念のため足音を消して


屋上
そこに彼は座っていた
今日は快晴だったからか、いつもよりも美しい星空が広がっている
まるで人々の命のきらめきだ
それを彼は見上げて座っている
「起こしてしまいましたか」
いきなり声をかけられた
気配と足音は消していたはずなのに
「凄いな、もう気づくなんて」
「流石に真後ろに立たれたら気づきます」
そう言いながら彼はこちらにその背中を向けたままである
この夜空を見ている方が大切だと背中が語っているように見える
彼の隣に座り、俺も星空を見る
「どうしたいんだい、眠れないのかい」
「惜しいですね。正確には眠りたくないが真実です」
その答えに思わず眉を歪める
何故眠りたくないのだろうか
不眠症かと思ったが彼の顔は表情こそないが不健康には見えない
隈一つもない
では何が彼をそうさせるのか
答えは直ぐに聞けた
「昔の、昔の話をするとよく夢にでるんですよ」
何の夢とは聞かない
そんなものは聞く前から答えは解っていなくては人間としてお終いだ
言葉は続く
「それもね、厄介なことにですね。両親が死んだ瞬間を見せられるのですよ」
困ったもんだと言いたげな仕草をする
俺は何も言わない
「それ以降の光景ならいいんですけど、何故だか知らないが過去を話すといつもこうなる」
彼は表情を無表情のままにしたまま話す
今更だが理解した
彼はこの星の海を見ていない
焦点が合っていない
彼が見ているのは今ではなく過去だ
そう、彼の瞳には過去に経験した地獄を見ている
見ている
いや、見続けている
現在進行形で彼は過去を見ているのだ
彼にとっては今も地獄の中にいるようなもんだ

ああ、俺は何て勘違いをしたのだろう

俺は彼には感情なんてものはない少年と思っていた
周りのみんなもそう思っているかもしれない
酷い勘違いだ
彼は亡くなった両親に対して罪悪感を覚えている
自分だけ生き残ってごめんなさいと
いや、もしかしたら両親だけではないのかもしれない
その場にいて死んだ人達にもそう思っているのかもしれない
彼は何でもなさそうに話すが逆だ
彼は何でもあるようなことを何でもなさそうに話すのだ
勿論これは勝手な決めつけかもしれない
実は本当に何にも思っていないのかもしれない
しかし彼は見たくもない光景なのにその嫌なことを俺たちに話してくれた
それだけは

勘違いではない

そう思い彼の頭を撫でた
すると彼は不機嫌そうな声で
「子ども扱いしないでください」
等言ってくる
思わず笑う
小学一年生なのだから子供なのに
弟がいたらこんな風なのかもしれないと思う
俺はそのまま頭を撫でる
彼は不機嫌そうに喋る
「いい加減止めてください恭也さん」
その時初めて名前で呼んでくれた
他者のことを名で呼ばぬ彼が俺の名を
何故と問うと
「………愚痴を聞いてくれたのは貴方が初めてだからです」
つまり認めてくれたのか
成程、彼は誰かにこの話を聞いて欲しかったのかもしれない
それがたまたま俺だった
それがたまらなく嬉しい
剣士である俺が
剣以外でも誰かに認めてもらった
ただそれだけが嬉しかった
俺たちはそのまま朝まで星を見ていた
お互いを何も言わずただ星を




[27393] 第六話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/05/04 22:26
風雷君の辛い過去の話から翌日
普通ならこう空気が嫌な風にギスギスする日
そうなると誰もがそう思っていた
結果は半分正解で半分はずれ
そう、何故だか知らないが

恭也さんと風雷君が物凄く仲良くなっているのだ

見た目とかそういうのが変わったとかではない
証拠の会話はこれだ

「慧君、そこの醤油を取ってくれないか」
「どうぞ、『恭也さん』」

そう恭也さんだ、あの風雷君がだ。もう一度言わせて欲しい

あの風雷君がだ

今まで一度も誰かの名前を言わなかった風雷君がだ
今までなのはちゃんの要求を一度も飲まなかった風雷君がだ
恭也さんはどんな奇跡を使ったのだろうか
どんな魔法を使ったというのだろうか
あ、なのはちゃんのお箸が折れた
今の内にお皿を退避
退避した直後
「どういうことなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉx!!」
と机をバン!と両手で叩いた
その時にはみんなも予想していたのかお皿とかを退避させていた
なのはちゃんの行動って読み易いよね
そんな中恭也さんと風雷君はいつも通りだった
「なのは、ご飯中にそんなに叫ぶのははしたないぞ」
「というか近所迷惑だ」
「そんな些細なことは今の大事と比べたら大したことではないなの!!」
あはは、なのはちゃんがいい感じにおかしくなってる
「お兄ちゃん!一体どうやって慧君から名前で呼んで貰えるようになったの!!説明を要求するなの!」
まぁ、私達も気になっていることなので誰もなのはちゃんを止める人はいない
むしろ、そうだそうだ、ブー、ブー等みんな言っている
このメンバーでは私は自然と影が薄くなってしまいそうだ。グスン
ごほん、そしてその質問に件の二人はお互いアイコンタクトをして一言

「「気が合ったから」」

ユニゾンした一言であった
一瞬
なのはちゃんから全ての動きが消えたような気がした
即座にみんなは理解した

いかん、嵐の前の静けさ状態だと

予感道り直ぐに爆発した
大声という名の嵐を

「納得いかないのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

鼓膜が潰れたかと思った
事前に耳を塞いでいなければやばかったかも
運動神経はなのはちゃん低いのに肺活量はあるのかもしれない
ちなみに一番近くで聞いていた士郎さんは床に倒れて桃子さんと漫才をしていた
内容は

「桃子………俺はもう……」
「そんな!しっかりして下さい!士郎さん!!」
「ああ………俺は……桃子みたいな…………素敵で素晴らしく美しい人と………結婚できて…………幸せだ………ガクリ」
「しろ、う、さん?士郎さんぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

息が合ったプレイだ
そこを空気を読んだお姉ちゃんがスポットライトを二人に当てていた
それ以外のみんなは華麗に無視していた
それのせいで更に士郎さんの瞳には涙が………
見なかったことにしよう
「高町うざ………煩いぞ」
「今さらりとうざいって言おうとしたよね!どっちにしろ悪意が隠せてないなの!」
「え?悪意って隠すものなのか?」
「はい決定!有罪決定なの!なのは法典では死刑って決まったけど遺言はある!」
「言いたいことならあるーーーー俺を殺すには高町じゃあ役不足だ」
「OKなの。つまり戦争なの!」
「戦争?一方的な虐殺の間違いだろう」
「なのーーーーーーーーー!」
なのはちゃんが風雷君に突撃するが風雷君に頭を押さえられてそこから一歩も前に進まず、手も届かない
まるで漫画のギャグシーンだね
そう思っていると何だか風切り音が
余裕の状態だった風雷君が珍しく顔色を変えて咄嗟に頭を伏せる
すると彼の背後の壁に何か生えていた
見るとそれはえーと飛針だっけ、一度恭也さん達の修業を見せてもらった時に見たことがある
何でそれが生えてるんだろうと思ったが直ぐに気づいた
ああ、さっきの風切り音はこれを投げたから
では、誰が
みんなその思考に至ったのか飛針が飛んできたと思われる方向と思わしき方を見ると
そこには構えていた士郎さんが
冷や汗をかきながらそれでも表情を変えない風雷君
この状況では滑稽に見えるのは私の気のせいでしょうか
「あ、あの~高町父。今のーーー当たってたら死んでると思うんですが」
「安心しろ風雷君。----確信犯だ」
ちゃきと何か音が聞こえた
士郎さんが刀を構えた音だった
「----模擬刀ですよね」
「いや、そんな失礼なことはしないとも。お客様用ミラクル真剣だ。これに斬られると、あら、不思議。一つの物が二つになるんだよ」
「…………峰打ちですよね」
「HAHAHAHA,面白いジョークだね。だが俺は仕事には真面目でね。業務に従って刃の方を向けないといけないんだよ」
「ははは、聞きたくないんですけど聞かなければ俺の命が斬られそうだから聞きますけど。その仕事とは?」
「よくぞ聞いてくれた。その仕事とはな………」
「仕事とは?」
「なのはをいじめた男を抹消………いや、抹殺することだ!!」
「いかん!ただの親馬鹿か!!」
「親馬鹿結構!なのはの為ならそこらの野郎共なんぞ滅殺してやろう!」
「高町父!控えめに言いますけどあんたおかしいぞ!!」
「問答無用!!御首頂戴!!」
刀を振り上げバーサーカーの如き狂気を抱きながら風雷君に向かう
みんなマジとわかって士郎さんを止めようとするが流石は一流の剣士
スピードが段違いに速い
恭也さんも美由希さんも止めようとするが一歩遅い
風雷君も逃げようと体を動かすが、動かそうとした直後彼は気づいたようだ
逃げ場所がないのだ
横はテーブルと壁
前後は襲い掛かってくる士郎さんと驚きで棒立ちしているなのはちゃん
これでは逃げようがない
しかも士郎さんのスピードを見ると動けて一歩分
それではどう足掻いても逃げられない
風雷君、絶体絶命だと思った
だが、彼はそこでは終わらなかった
彼はその一歩を自分を動かす為に使うのではなかった
彼は足を動かし、周りにあるものを士郎さんに向けて蹴るために一歩を使った

つまり、さっきまで座っていた椅子を

当然、士郎さんはそれに対処しなければいけない
何故ならば条件が風雷君と同じなのだ
横はテーブルと壁
前後は迫りくる椅子と後ろには桃子さんが
となると迎撃するしかない
飛来物を刀で迎撃
しかし言うほど簡単ではないだろう
そもそも刀は人を斬るものだ。断じて木材などを斬るものではない
しかも高速で動いている物だ
並みの剣士では無理だ
逆に刀が勢いに負けて折られるだろう
されど、高町士郎は並みの剣士ではない
超超一流の剣士
御神不破流の師範なのだ
高速で飛んでくる椅子など

たやすく斬れる

疾っという風切り音は
斬という風切り音に変わった

余りの鋭さと速さに椅子は少し遅れて真っ二つに分裂した
一つの物は二つの物になり、それらは士郎さんを避けて飛んだ
私にはその斬った瞬間が全く見えなかった
そしてもう一つ見えなくなったものがあった
士郎さんも遅れて気づいたのか、少し目を開く
だが、次の瞬間。士郎さんは後ろを見た
そこにはさっきまで士郎さんの前にいたはずの風雷君が中腰で立っていた
一体どうやって………!!
瞬間移動でもやったのか
答えは士郎さんの口から聞けた
「上手い状況判断だ。椅子を蹴り飛ばした直後、君も走り抜けそのまま私の股の下を潜り抜けるか。確かに視界は飛んでくる椅子のせいで狭まるし、君は小学一年生だ。小柄だから十分に出来る作戦だ。しかし、それが御神流以外ならのはずだが………気配を隠すのが上手いね」
「ええ、いつも喧嘩を挑んでくる山猿に逆に奇襲を仕掛ける時に身に着けた技です。しかし流石に猿ですから、野生の勘が凄くてなかなか成功できませんが人間が相手なら不可能ではないでしょう。現に恭也さんにも通じたわけですし」
「成程、だからこんな無茶な作戦をしようと思ったのか。大した胆力だ。美由希に習わせたいものだ」
うんうんと一人頷いている士郎さん
凄いと正直に思う
あんな一瞬でそこまで頭が回るなんて私には不可能だ
例えそれを可能にする身体能力があったとしても咄嗟にしろと言われたら私には無理だろう
多分私ならあの状態でただボーと立って、為す術もなくただ剣撃を受けるだけだろう
凄いなともう一度思う
しかし、それだけの事を成し遂げた彼の顔からは緊張は取れていなかった
答えは簡単
士郎さんが説明する
「でも、その後が続かない」
「……………………………」
「確かにその年頃でそれなら素晴らし過ぎる動きだ。一種の天才かもしれないかもね。しかしだ。それでも俺にはまだまだ届かない。その気になれば。攻撃はおろか防御もさせずに俺は君を倒すことができる」
「……………………………」
事実だろう
風雷君は色々なものが士郎さんに負けている
例えば体格差
例えば経験
例えば身体能力
等々色々なものが負けている
仕方がないことだろう
そもそも風雷君は腕が立つとはいえども少し喧嘩慣れしているといっただけだ
対する士郎さんは実戦式の剣術を習得した超一流剣士だ
むしろ今の攻撃を躱せたことだけでも奇跡の領域だ
多分、武術に関して詳しい人がいたらこういうだろう
この少年は称賛に値する、と
しかし限界だ
これが彼の限界だろう
それを彼もわかっているだろう
元より聡い少年だ
彼我の実力は理解しているはずだ
「さぁ、君の負けだ!」
士郎さんは勝利を確信したのか叫び大胆にも彼に大股で近づこうとする
しかし、急に彼がおかしな行動に出た
緊張を解いたのだ
士郎さんもおかしいと思ったのだろう、歩みを止める
そして問う
「どうしたんだい?こんな場面で緊張を解くとはーーーー自殺行為だよ」
「いえ、もう終わりましたから」
へっ?と思わず間抜けな声を出してしまう
だってどう見ても風雷君の不利……………あ~ようやく理解したよ
確かにこれで終わりだね
どうやら士郎さんは気づいてないようだ
ええと、こういう時は十字を切るんだっけ?
「どういうことだ……………ひぃ!」
がしっと士郎さんは後頭部を思い切り後ろから鷲掴みにされました
ぎぎぎと無理矢理死刑囚、いや士郎さんは後ろに振り向かせられる
そこには

満面の笑みの桃子さんが

みんな悟った
士郎さんの命はここまでだと
だからそれぞれ士郎さんの旅路のために手を合わせたり、十字を切ったり、遺影を撮ったり、線香に火を点けたりしている(つまり、誰も士郎さんを助ける気がないんだね♪)
士郎さんは命乞いをする
「も、桃子、待ってくれ。こ、こここここここここれれれれはだだだだななななな」
「はいはい、何ですか、士郎さん?」
「そそそそそそそののののだだなな。スーハー(深呼吸)。な、なのはを虐める不届きものに成敗をしようとだなぁ」
「あらあら、私には二人は微笑ましい行為をしていただけのようにしか見えませんでしたが」
「い、いやいやいやいや、そんなことはないぞ!彼はあのなのはの頭を押さえつけるという悪行をしていたんだ!!」
「ふふふ、そうなの?-----じゃあ、お話はそれで終わりですね」
「!!!!???」
うわぁ、士郎さん、凄い顔している
でも誰も助けようとはしない
このメンバーな中には命知らずの空気を読まない人間はいないようだ
あ、風雷君。写メで士郎さんの写真をモノクロにしているぅ。しかも何故か賞金首にしている。わぁ、二千円だ。
「じゃあ、行きましょうか拷問…………私たちの愛の巣に」
「あっはっはっはっはっはっはっは、今、間にモノスゴイコトバガハサンデイタヨウナキガシタノハキノセイデショウカ」
「うふふ、大丈夫よ士郎さん。-----子供達を思って言葉を変えたの」
「嫌だ!止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、こきゅりゅ!」
あ、短い悲鳴が
急に力が抜けた士郎さんはそのまま首根っこを掴まれたままずるずると引きずられ違う部屋に入ろうとする
「あ、そうそう」
すると何を思ってか。急にその満面の笑みをこちらに向けてくる
みんなピクリと一瞬で背筋を伸ばす
本能って凄いと知りたくもないことを私は知ってしまった
ついでに笑顔ってこんなにプレッシャーがあるものなんだと知ってしまった
その笑顔で一言

「絶対に見に来ちゃーーー駄目よ」

ひゅーーーーーーー、ばたん
答えも聞かずに桃子さんはドアを閉じた
誰も動くことができなかった




それから一時間
私たちは片づけをした後、それぞれの時間を過ごしている
風雷君はさっきの動きを見て恭也さんと美由希さんに修業に誘われ引きずられていった(そこらへんは親子そっくりだ。ちなみにまだ士郎さんと桃子さんは帰ってきていない)
彼は彼でノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォと言って連れて行かれていた
味のある悲鳴だった
表情は無表情のままだったが
「それにしても士郎さんのあれは大変だったねぇ」
「本当ですよ」
お姉ちゃんとなのはちゃんの話が耳に入る
士郎さんには悪いが仕方ないだろう
あれじゃあ、なのはちゃんに何時までたっても恋人が出来ないんのではないだろうか
そう思いながらお茶をズズズーと飲む
ああ、美味しい。適度に温かいお茶が美味しい
「困るわねー。もし、すずかの想い人に何かあったら大変な事よー」

「ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「目が!!目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あ、アリサちゃん!!落ち着いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

飲んでいたお茶をはしたなくも、思い切り噴出した
アリサちゃんは適度に温かいお茶を目に浴びて大ダメージ
なのはちゃんはそんなアリサちゃんを見て大慌て
結論はカオスになった
の前に
「お、おおおおおおおおおお姉ちゃん!!いききききっきなあななななりりりりいりりり何をぴゅうの!!頭大丈夫!!?」
「うんうん、いい感じの壊れ方ねぇ~。でも最後の方だけがまともに話せていたことにすずかが日々お姉ちゃんに対して何を考えていたかお姉ちゃん、理解しちゃったなぁ」
今はそんな些細なことはどうでもいい
問題は
「え?そうなの?すずかちゃん、慧君の事が好きなの?」
「へー、すずかも変わった趣味してるわね~。まぁ、気づいていたけど」
この二人、というよりなのはちゃんだ
「な、なのはちゃん!」
「うん、な…………っていたたたたたたたたた!!食い込んでる!すずかちゃん!すずかちゃんの一見繊細そうな指が私の脆い肌を呆気なく貫通してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
無視した
今はそんなことは問題ではないはずだ
なのはちゃんの肩よりも重要なことだ
それは
「いい!なのはちゃん!」
「うん!なに!できゃりゃば私にょーー!!肩がクライマックスを超えらーー!前に!!」
なのはちゃんのキャラが壊れている感じがするが気にしない
「絶対、絶対、絶ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー対!!!」
「ねぇ!それ、わざ!!っとなの!わたしょ!のkつう!をのっばっすだめの、じがーーん稼ぎなの!うにゃ!!」
「ねぇ!なのはちゃん!真面目に聞いて!!」
「聞いた!!いったぁ!舌噛んだなの!」
「嘘つき!!遊んでるよ!!」
「じゃあ、その握力を弱めにゃ!にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!推定70キロオーバー!!?私もう死んでてる!!?」
「すずか!落ち着きなさい!!なのはの内面と肩と言語が既に原形を留めていないわ!!ついでにアンタの内面も!」
はっ!私としたことが!
えーと、こういう時は
「ほ、骨だけは拾うからね!!?」
「駄目よすずか!それ、なのはの死亡フラグ!!」
ポキッ

「「あっ」」

何だか枝を折ったかのような音
それは何故か知らないが私の手の中、つまりなのはちゃんの体内から聞こえたような気がした
…………………………………………
沈黙が漂う
私とアリサちゃんは冷や汗を一筋流す
どういう行動をすればこの場でベストなのか、それだけを考える
ゴクリと二人で息をのむ
そして息を吸う
そしてついに一言

「「おお、なのは(ちゃん)よ。しんでしまうとはなさけない」」
「死んでないよ!!」
あっ、生きてた
良かったぁー。この年で前科持ちはやだよ~


時間をかけてようやく落ち着いて話せるようになった
「も~、すずかちゃん~。痛かったよ~」
「ご、ごめんねなのはちゃん。つ、つい」
「ごめんねだけじゃあ鎖骨の痛みは帳消しにならないの」
「………………(何でなのはは明らか鎖骨が折れたはずなのにもうダメージから立ち直ってるのかしら。高町家の不思議?」
「アハハ、すずかも可愛くなったね~」
「お、お姉ちゃんっ」
「(そしてこの人はあれだけの惨状を前に顔色も変えてない。あれ?常識人は私だけ?)」
「それにしてもすずか。彼のどこに惚れたの?」
「うっ」
「あ、それ私も聞きたーい」
「私もー」
「あ、アリサちゃんやなのはちゃんも…………?」
「当然よ!友人のコイバナ程面白そうな…………応援し甲斐なものはないわ!!」
「右に同じくなの!」
「アリサちゃん。出来れば本音の方を隠してくれていたら少し感動していたんだけど……」
「で、どうなの?」
「う、の、ノーコメントでお願いします…………」
「あら?私達にそんな可愛らしい行為が通じると思っているなんて。可愛らしい子ーーーーーなのはちゃん、アリサちゃん。すずかを羽交い絞めしてちょうだい」
「了解なの!」
「任せて下さい!」
「ひゃ!ふ、二人とも止めて!お、お姉ちゃん。な、何をする気…………」
「ふっ、決まってるでしょう」
そう言ってまるで聖母のような微笑みを浮かべるお姉ちゃん
私この笑顔をどういうのか知っている
それは

「すずかが素直になるまで揉むのよ」
悪巧みと

「も、もみゅ!?や、やっぱりお姉ちゃん!そっちのけが!!?」
「やっぱりっていうのはどういうことかな!?ふふふ、でも今はその称号甘んじて受けましょう!妹の乳を揉むために!」
「駄目だよお姉ちゃん!!そのキャラ何だか知らないけど誰かに被ってる気がするの!!頭に浮かんだビジョンだと狸っぽい子に!!」
「そんなの今の私には関係ない!!」
「ひゃん!!」
揉まれた
それも鷲掴み
「ふふふ、ここがいいのでしょう、すずか?」
「や、やぁ、やめてぇ。あっ」
「ふふふ、口ではそう言っても体は正直ねー」
「「わ、わぁー」」
お願いだから止めてー!!
と変な雰囲気になっていたら

「し、死ねる………あの鍛錬死ね……………」
がちゃり
風雷君がドアを開けた

「「「「「…………………………………………………………………………」」」」」

言葉なんていらなかった
私達にはそんなものはいらなかった
悲しいことに
ばたんとドアを閉じられる
その動きでみんなの動きが再開される
「ふ、風雷君!誤解だよ!!」
「ああ、大丈夫、月村。俺は空気を読めるいい子。だから遠慮なく続きをヤッテくれ。俺はそれを遠くから侮蔑の目で見るから…………」
「お願い!!その気持ちはわかるけど、今回だけは空気を読まないで!!あと、全然フォローにもなってないし、逆に追い打ちをかけているよ!お願いだから信じて!!同性愛の趣味を持っているのはお姉ちゃんとなのはちゃんとアリサちゃんだけなの」
「え!!ここでまさかのカーブをするの!!すずか止めなさい!!変な趣向を持っているのはなのはだけよ!!私はどノーマルよ!!」
「ええ!アリサちゃん!?私を売るの!!」
「いや、わかってるんだ…………………………高町症候群にかかっていて変態なわけはないって。解っていたさーーーーーー救いようがないって」
「駄目だ!こいつ話を聞いているようでまったく聞いてないわ!!」
「ふふふふふふふふふ」
彼は不吉な笑いをしながらドアから遠ざかっていき、最終的に走りながら

「月村も変態だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
と叫んで行った
その後私達は彼を追いかけた
誤解を解くために
私は変態じゃないよ!!!

風雷慧  脱走


あとがき
質問に答えますけど、彼は声には感情が少し篭っているのに、顔に感情が宿っていないというアンバランスな人間です
だから設定は壊していない…………はずです
あと、一つ聞きたいんですが一部だけ文字を大きくしたり、ルビをするにはどうやったらいいのでしょうか
出来れば教えていただきたいです



[27393] 第七話
Name: 悪役◆8e496d6a ID:2d3d82d8
Date: 2011/05/07 19:02
魔窟の世界から逃げ、今俺は図書館にいる
別に他意はない
単純に適当に逃げてきたら、ここの近くに来ていたのでここに逃げ込んできたのである
それに月村ならともかくあの二人が本を読むとは思えないと思ったのだ
完璧な作戦
思わず自分の頭を撫でてしまうくらい完璧だ
さらに思わず独り言を呟く

「まったくーーーー傑作だな」と俺は笑わず
「戯言やろ」と狸は笑った

「ていうかキャラ的に言うセリフが逆やろ!!更に私は狸ちゃう!!」

「な、何を言う!お前が狸じゃなかったら何を狸と言うんだ!いい加減にしろ!」

「え!?何でや!私何で逆切れされてんの!?この場合私がキレるシーンやろ!」

「そんな空気、俺が殺して解体して並べて揃えてーーー晒してやるさ」

「やめぃ!色々迷惑や!!」

「鏡を見て言え」

「辛辣なツッコミ!」

ああ、癒される
まさか狸相手に癒されるなんてーーーー高町家よりは百億倍ぐらいマシだからな
この気持ちを一言で表したら何と言うだろうか
獣に癒し
ぴーん

「ケヤし…………」

「すいませーん。誰かこの人を病院に連れて行ってくださーい」

「病院?お前が今から行くのは動物園だろう?」

「はははは、残念ながら私には二度ネタは通じひ…………」

「----餌として」

「まさかの見世物ではなく、消費物!!?」

「こんなゲテモノを見世物になんてーーーー俺にそんな酷いことが出来るはずがないだろう」

「はい、ダウト!!現在進行形で私に酷いことをしてるくせに、どの口が言うねん!!」

「この溢れんばかりの善意と悪意を溜めているこの口が」

「確信犯か!!」

お互い挨拶という名のコントをする
しかし、そんな僕たちは実は会うのは二度目だという
はっはっはっはっは、遠慮ないなぁ、お互い

「そやねぇ、私達会うのが二回目とは思えへん程コントしてるで」

「何だろうなぁ。この連帯感」

「こ、これはまさかーーーーー恋?」

「ごめん、俺自殺するわ」

「私の心がじさつしちゃいそうや~」

がしっと握手する
呼吸を合わせて一言

「「おお、心の友よ!!」」

この会話
そう!こういうことが出来る相手を求めていたのだ
ああ、至福の時間
でも至福の時間は長くは続かない
そう、それは機能理解してしまったことであった

「「「見つけたよ(わよ)!慧君(風雷、風雷君)!!」

「な、何や!」

「下がれ八神!いや、こいつらに近づくな、話すな、触るな、同じ空気を吸うな!!もしこれらを守らなかったら高町症候群にかかってしまうぞ!!」

「た、高町症候群?」

「そう、病名高町症候群。症状はレズになったり、ストーカーになったち、親馬鹿になったりと様々な症状が出るが結果はかかったらーーーーー変態になる」

「そ、そんな恐ろしい病気が!?」

「駄目だよ!彼の言うことを真に受けたら!風雷君は屁理屈を並べることなら世界を狙えるもの!」

「屁理屈で世界を狙えるということはつまり俺の屁理屈は世界を支配できるということか………………大したものだ」

「駄目だよアリサちゃん!もう慧君には言葉は通じないと思うよ!!」

「さらりと酷いわねなのは……………」

「わ、私はどっちを信じればいいんや……………?」

「「「「無論、こっち(だ、よ、なの)!!!」」」」

「あかん!あかんでぇ!!私がボケることも、ツッコむ事も出来ないなんて!私はどうすればいいんや!!」

わいわい騒ぐ俺達
互いに譲らず、互いに主張するので話は平行線
決め手がない状態で更に騒ぐ
だが、俺たちは忘れていた
そう、ここが図書館(公共の場)だということを

「あいた!」

「きゃっ!」

「いたっ!」

「にゃっ!」

「あがっ!」

同時に悲鳴があがる
何故悲鳴がというと答えは至って単純
何かをぶつけられたからである
何かというのは

「ぼ、ボールペン?」

「シャーペン?」

「練消し……………」

「じ、Gぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!何で私だけこんなんやねん!」

「…………………明らか殺意が籠った六法全書」

みんなが一体誰がこんなことをと思い投げられてきたと思われる方向に振り向いた
そこには

こめかみに立派な青筋を立てていたお姉さんが

その視線がこう言っている

図書館で暴れんなよ糞ガキがと

その場の判断で全員逃げだした

運動神経の悪い高町と車いすの八神を残して
うらぎりものーと声が聞こえたような気がしたがそんな些細な事では俺達の逃走本能には勝てなかったのである




「まったく、ひどいよ!」

「ほんまや!」

「だからごめんって何度も言ってるでしょう」

「そうだぞ、こんだけバニングスが謝ってるんだ。そろそろ許してやれ」

「……………まるで自分は何も悪くないっていう言い方だねぇ」

「え?俺悪いことなんて一度もしたことがないよ」

「「「「はい、嘘!!」」」」

「人の言っていることを疑うなんて……………悪い子だな」

「そのセリフ、慧君には言われとうないわ!!」

「同意見だよ!」

「右に同じ」

「左に同じ」

失礼な奴らだ
今は図書館から逃げてきて公園に来ている
流石にあのままあそこに居残るほどみんな精神力は強くなかったのである
あの後は八神をみんなに紹介した
その後、高町恒例の秘技「名前で呼んで」を使い見事八神を洗脳した
恐ろしい能力だ
そういえば八神。お前は人見知りが激しいんじゃないのかと尋ねてみたら
「いやいや、あんなボケて、ツッコんでたら、そんなん乗り越えてしもうた」
ということらしい
別にどうでもいいけど

「ああ、私これからどういう顔してあそこに行けばいいんやろうか…………」

「大変だな、八神」

「だ・れ・の・せ・い・や!!」

「そこの三人娘」

「風雷?責任転嫁っていう言葉知ってる?」

「勿論知っているとも。それがどうした?」

「あははは、時々むかついてその澄ました顔を思いっきし殴りたくなるんだけど私、間違ってないよね?」

「月村、言われてるぞ」

「…………へぇ、風雷君からしたら私澄ました顔してるんだ」

おおっと藪を突いてしまったか
触らぬ月村に祟りなし
そう思いその殺意から逃れる為の方法を考えていると
「おっ」
目の前にアイスクリームの屋台が
丁度いい。これでご機嫌を取ろう

「見目麗しいお嬢様。どうかこの甘いものでご機嫌を直してください(棒読み)」

「うん……………出来ればそのセリフに感情が籠っていたら完璧だったのに」

「まっ、風雷に期待するだけ無駄でしょう。あ、あたしバニラね」

「私もバニラ!」

「私もや!」

「……………何故お前らも注文する」

「「「え?まさかすずかちゃんだけ特別扱いするの?ふーーーん」」」

何だその含みがある言い方は
まぁ、別にそれぐらいのことで財布は傷まないけど

「月村は?」

「………………………………え?あ、ああ!わ、私はチョコで!!」

「……………………何で焦っているんだ?」

よくわからんやつだ
そう思いながら屋台に近づいて注文をする
すると後ろから話し声が聞こえる

「それにしても普段は薄情者に見えるけど優しいやんか」

「そうだよね~。あ、こういうのをツンデレっていうんだよね~」

あら、とても不快な会話が

「すいません、チョコ二つに、バニラ一つ、あとそこの抹茶わさびサイダーを一つと、いちごカレー辛口を一つで」

「なんやぁーーーーーー!!その奇怪なアイスは!!?」

「何でそんなものがあるの!?ていうか止めてそんなものを注文するのは!?」

やかましい
誤解しかない事を話しているからいけないんだ

「それにしてもすずか。良かったじゃない。好み似通っているみたいよ」

「え、えへへ。そうかなぁ~」

何か聞こえたが気にしない
というか聞いてない



しばらくアイスを食べて雑談していた
余談だが八神と高町はアイスを意地で食べていい笑顔で気絶した
余りにもいい笑顔だったので写メを撮っといた
これは高町父にでも怒ったとき用のフレアにしておこう
そう思っていたら

「ぬっ」
さっきまで公園になかったものを発見した
というか余りにもくだらなさ過ぎて見る気が一瞬で失せた
見つけたものはざるを棒で立てた幼稚園どころか赤ん坊ですらしないトラップというのも馬鹿らしいものだ
よくその下には食べ物とかで釣るために何かを置いておくんだがそれが

「ね、ねぇ、あ、あのと、トラップ?らしきものの下に。い、いやらしい本が置いてあるように見えるんだけど。わ、私の気のせい?」

高町も気づいたのか律儀にみんなに伝える
他の奴らもそれには気づいていたのかみんな目をそらしたり、顔を赤らめたり、興味津々だったり、興味なしだったり、色々な反応を返してきた
はぁ、こういう馬鹿らしい物があるということは十中八九あの山猿の仕業だろう
とっとと山猿退治をするか
そう思い立ち上がり、くだらないもののそばに歩いていく

「え?慧君?ど、どうするの?」

俺は何も言わずカバンからシャベルを取り出す

「「「「えええ?ちょっと待って!明らかそのカバンには入らないサイズ(やん、じゃない)だよね!!」」」」

無視して穴を掘る
ざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっく
よしこれぐらいで成長した万年発情猿を落とせるくらいの深さにしたか
あとは餌か
今度はカバンから何の変哲もないペットボトルを取り出す

「「「「????」」」」

後ろから今度は何だろうみたいな反応をしているのが気配でわかるが、これも無視してとぽとぽと中身の水をそのエロ本にかける
よしよしこれくらいかけといたら景気良くなるだろう
今度はごそごそとポケットからマッチを取り出して火を点け遠慮なくエロ本につけた
一瞬でエロ本が業火に包まれる
次の瞬間

「ほわちゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

などど奇声を発した山猿が藪から出てきて燃え盛っているエロ本に飛び込んだ
よくもまぁ、絶賛火事中のエロ本を抱き抱えれるもんだ
だがまだ甘い
山猿は本の方に集中していて足元を疎かにしている
そして一歩足を引いた瞬間
山猿は俺がついさっき作った落とし穴に嵌った
ぐわぁぁぁぁぁぁぁとかいう山猿の奇声が聞こえたがそんなものは気にせずにすぐさま穴に近づき上から魔法の水(灯油)を落とし、ついでにマッチを落とす
そうするとあら不思議
下に落ちた動物が燃えだすではないか
こうなるとこう言いたくなるよなぁ

「はっはっはっはっはっはっはっはっは!!!猿がゴミのようだ!」

「…………………………はっ。ちょ、ちょっとあんた!!それ殺人よ!」

「あ、ほ、ホントや!余りの状況の移り変わりについていけなかったからリアクション取れなかったけど慧君!!そんなんしたらその人死んじゃうで!!?」

「そ、そうだよ!は、早く火を消さなきゃ!!」

「み、水!!」

おやおや、皆様何を勘違いしているんだろう
これは優しい俺が答えて上げなければ

「みんな。騙されてはいけない!こいつは人の皮を被った山猿だ!!」

「「「「こいつ、もう駄目だ!!」」」」

おお、珍しく八神が関西弁を放棄して、月村が汚い言葉を吐いた
それにしても何を言うのだろうか
この山猿がもう駄目なのは見た瞬間わかっているのに改めて口に出すとは……………非合理的だね

「あんたって無表情な癖して何で喋る内容はコミカルなの!!?」

無視した
いちいち相手にするのがめんどくさくなったというのが本音だが
何やらバニングスが錯乱して俺を殺してやるとか言って月村達に止められている
最近の若者は脳が異常だね
そう呑気に思っていると

「こ、小僧!貴様ぁ!よくの儂の先祖代々伝わる法典を焼きやがったな!」

と言って穴から這い出る山猿
速攻で穴に戻すために蹴ろうとしたが流石に間に合わなかった
ちっ、流石山猿
登るのが得意なもんだ

「大体何だ。エロ本を法典にしている家系は。そのまま去勢されればいいのに」

「己、年上に対して礼儀というのが分かっておらん小僧が……………!」

「はて、この場に年上の人間がいただろうか?俺の目の前には山猿じじぃしか見えないが」

「わかった。儂が悪かった。小僧に礼儀という概念は難し過ぎじゃったな。だからこっちに来い。躾をしてやろう。何、痛くはせん」

「この前それを信じて近づいたら延髄チョップをかまして俺を気絶させてそのまま山のど真ん中に捨てていったよな。あの後餓えた野獣とかと遭遇したりして帰るのに一週間かかったんだが」

「それを言うなら小僧。お前は儂が寝ている間にどこかからか調達してきたコンクリに儂を埋め込んでそのまま海に捨てたような気がするんじゃが。コンクリから抜け出すのに二日。帰ってくるのに三日かかったんじゃが。しかもその間に鮫やら何やらに襲われたんじゃが」

「「………………………殺す!!」」

「お、落ち着いてなのーーー!!でいうか何であの炎から無傷でいられるのーー!」

「…………………………その前にさっきの過去話が本当なら何でこの二人が生きているのかを知りたいんだけど」

「……………あれ?でもそういえば、この前。風雷君が何故だか知らないけど一週間休んでいて連絡もないっていう事があったような」

「……………………………………………………きっと偶然やって」

外野が何かほざいているがそんなのは無視
今はこの万年発情期の山猿を抹殺しなければ…………!
そう思っていると山猿は何をとち狂ったのか、四人娘の方を見ていた
チャンスと思ったが、ちゃっかり片目はこちらの方をちゃんと監視していた
ええい、無駄に隙がない
そうしてチャンスを狙っていたら

「ほう、これは傑作じゃな。小僧の友達かな」

とにやにやした気持ち悪い笑顔でそう尋ねてきた
だから俺は反対の気持ちいい返事をした

「いや、残念ながら。一人はストーカーで、一人はレズで、一人は狸で、一人は変人だ。こんな個性的な友達は願い下げだ」

「「「「余りにも酷い評価(なの、よ、や)!!!」」」」

そんなことはない
俺はちゃんと見て評価している

「待ちなさい風雷!確かになのはとはやてとすずかの評価はそれでいいわ!でも私の評価はおかしいわ!!私は変人何て言われるほど高町症候群にやられてないわ!」

「ちょっと待って!その病名、既に受け入れられているの!?そしてアリサちゃんは友達をいとも簡単に捨てるの!!?」

「同感だよアリサちゃん!少なくともその意見はなのはちゃんとはやてちゃんにしか通じないよ!私は普通だもん!」

「ちょい待ちぃ、すずかちゃん!出会ってまだ一時間ぐらいしか経っていないのにその言い方は酷いんちゃうか!!それに私、人間やもん!!狸ちゃうもん!!」

「八神。それについては後でゆっくり『お話』をしよう。ついでに鏡を見せよう」

「ひど!!このメンバー、手加減ていう概念が存在しない!」

「「「「手加減なんてそんなもん、ドブに捨てたわ(よ)!!」」」」

「人間として終わってる!?」

「はっはっはっは、仲がいいのう」

うるせぇ、糞山猿
とっとと山に帰れ

「よし、儂はそこの御嬢さんたちと話したくなったぞ。というわけで小僧、あそこで売っているたい焼きを買ってこい」

などど明らか喧嘩を売っているとしか思えないセリフを言ってきやがる

「山猿………………ついに幼女まで……………」

「残念ながら儂の守備範囲はお前さんほど広くわないなぁ」

「おいこら山猿。いきなり事実を捏造するな。後ろからの冷たい目がストレスを増やす」

『年上で優しくて包容力があって家庭的でロングヘア巨乳』

「……………………………………………」

おかしい
何で俺の声が返事として返ってくるのだろうか
しかも何をふざけたことを言っているんだろう
一発この声の主をとっちめなければ

「自分で自分を殴るとは…………………マゾの所業じゃな」

「二つ聞きたいことがある。答えさせてやるから答えろ」

「何じゃ?クソ生意気な小僧。お前さんと違って寛大な儂が答えてやろう」

「一つ、その機械は何だろうか」

「何じゃ小僧。ボイスレコーダも知らんのか」

知っているけど理解したくなかっただけだ

「二つ目ーーーーーーその戯けた言葉は一体なんだ!」

「ふっ、お前さんをこの前鳩尾を四連打しておとした時に上手いこと寝言を言いそうだったから、少し『お前さんの好みは?』と聞いてみたら素直に答えてくれたぞ」

「馬鹿な!?俺の深層心理がそんなものを望んでいるなどとは!!」

「ふはははは。何ならもう一度流そうか。しかも今度はラジオをハッキングして全国に流れるようにして最後に小僧の住所をつけようではないか。あははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」

「この山猿!拷問だけじゃ収まらないぞ!!」

「なにぃ?そんな口を聞いてもよいのか」

「くっ」

「わかったなら、とっとと買ってこい変態小僧」

「ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「はっはっは、行ってこーーい」

ちくしょう!!
この場合何を言っても負け犬の遠吠えだがそれでも言わなければ気が済まない

「山猿!!月のない夜は気をつけろ!!きっと釘バットを持って気絶させた後、リアルアリジゴクに手足を縛った後、放置してやる!!」

「それは負け犬の遠吠えというより殺人宣言じゃぞ」

山猿が人を自称するか!





「やれやれ、やっと行きおったの」

そうしてお爺さんはよっこらせと言ってベンチに座った
あの風雷をあんな風にパシらせることが出来るなんて………………凄いお爺さん

「はい!お爺ちゃん、質問!!」

そう思っているとはやてが元気に手を挙げながらお爺さんに話しかけた
…………………度胸あるわね
人見知りだったんじゃなかったの
首をやれやれと振ってその話を聞いていると

「さっきの好みーーーーーーマジですか!!」

「たわべ!!」

こきょ
余りのあほらしさに首が嫌な音を……………
そんな私の事情を知らずに話は続く

「ああ、そんなものはーーーーー嘘じゃ」

「え!?でもさっきの声は………………」

「合成じゃ」

「無駄にハイテク技術!お爺さん器用ですね!」

「かっかっか、あの小僧をいじめるにはこのぐらいをやらないと駄目じゃぞ?昔は可愛かったんじゃがなぁ」

「へっ!そうだったんですか!?」

「そうじゃとも。-----出会い頭に思い切り後頭部を殴ったらそれきり動かなくなってのぅ。もしかしてヤッチャッタと思い急ぎ森に隠してたのぅ。サツが来ないかブルブルして布団に入っておったわ」

「ああ、つまり風雷の性格の歪みの原因はお爺さんにもあったのね………………」

「かっかっか、何を言う。あの小僧は出会った時からあんな風に歪んでおったぞ」

まぁ、少しはマシになりおったがとお爺さんは言ってたがそえよりも重要な事がある
この人は私達が知る前の風雷を知っている
なら、少しは話を聞くことが出来るかもしれない
思い立ったが吉日

「あの、その、出会った時の風雷ってどんなやつだったんですか?」

うんうんと周りも同意する
私の知り合いで一番複雑怪奇な知り合い
さっきまでのギャグシーンでも彼は結局一度も表情を変えなかった
そこまで行くともはや彼には感情というものが無いのではないかと思う

「ん?ああ、今よりも酷かったぞ。まるでこの世全てをどうでもいいと思っておったからのぅ。まぁ、それは今でもじゃが」

「そ、それは、やっぱりあの事件で……………」

事件?とはやてが首を傾げるがそんなことに構っている場合ではない

「ああ、何の事件があったが知んないがそれのせいなんじゃろうなぁ。あの小僧はこう言っておったな『地獄を味わって生きようとしたらその地獄に適応しただけだ』と」

何だそれは
つまり生きようと思っての行動が今でも続く呪いになっているという事だろうか
それじゃあんまりにも

「可哀想か」

考えていたことをお爺さんに言い当てられてつい肩を竦める

「それ、本人に言っちゃ駄目じゃぞ。あいつ同情されるのもするのも嫌らしいからのぅ」

それはまぁ、態度を見たらわかる
というか実例を見たことがある
一度あいつが生徒に家族の事でからかわれているのを見たことがある(本人は完璧に無視していたが)
すわ、止めてやろうと三人で止めようとしたら
先生が出てきて命知らずにもこう言ったのだ
「風雷君は家族を事故で失ってしまった可哀想な子供だからそんな風に言っちゃ駄目」と
その瞬間まったく反応していなかった風雷が反応した
表情は相変わらずの無表情
しかし瞳には隠す気もない怒気が
その後先生が一人減ったと言っとこう
何をしたのか知らないが
手加減を知らないやつなのだ

「そうじゃなぁ。あの小僧この前は儂が散歩で眠くなって眠っておったら儂を縛って森に放置よった。しかも周りには熊を呼ぶ餌を置いて」

「………………………………これってツッコむとこかなぁ」

「ええ。こう言うべきだと思うよーーーーー洒落になってないって」

「すずかちゃん………………遠慮がなくなってきたね」

「成程。類は友を呼ぶという事かの」

確かに

「わ、私は風雷君みたいにおかしくないよ!!」

「「「「…………………………うん、そうじゃな(そうね、そうやな、そうだね)」」」」

すずかがいじけた

「まぁ、それでも昔よりかはマシになったの。昔は声にも感情が籠ってなかったからのぁ」

まるで人形じゃった
そう呟くお爺さんには気のせいか悲しみが含まれていた

「あの、お爺さん」

なのはが何だか聞きた気な様子だ

「何だい、栗色のお嬢ちゃん」

栗色のお嬢ちゃん…………………凄い名前
なのはは無視したようだ
この子も逞しくなっちゃって

「その、何で慧君と仲良くしようと思ったんですか?」

「ん?本人から聞いておらんのか?」

「ええと。何だか『その顔気に入らん』とか言って、えと。----コミュニケーションをしたとか」

「言葉を選ばんでもいいぞ」

なのはも口が達者になったわね
誰の影響かしら
………………………………………………………………………………

「あ、アリサちゃん?どうしてそんなに拳を熱く握りしめてんの?」

「ふふふ、どうしたのはやて?そんな赤ずきんみたいな質問をして。ただ私はこんなにもみんなを汚した風雷を原形がなくなるぐらい殴ろうと決心しただけよ」

「ああ!アリサちゃんは暴力的な意味で高町症候群にかかってんのやな!」

失礼ね
私はなのは達と違ってどノーマルよ
でも確かに何でだろう
みんなも疑問に思う
まさか本当に顔が気に入らないでけでここまでするとは思えないからである
ところが

「しかし儂の理由はそれだけじゃぞ?」

「へ?じゃ、じゃあ本当に顔が気に入らないだけで?」

「応とも。あやつが余りにも無表情過ぎるからのーーーーーだからからかってやろうとしただけじゃ」

「-----あ」

呟いたのはなのはか。それともすずかか、はやてか。もしかしたら私かもしれない
疑問は一瞬で氷解した
簡単な事だ
この人もこの人なりに彼を心配していたのだ
……………方法は明らか間違ってるけど
あの無表情の彼を
感情を意地でも出さない彼を
本人は俺は感情はないとアピールしているつもりのようだけどみんなそんなわけないとちゃんと理解している
大体感情がないなら友達じゃないと嫌がることも出来ないでしょーが
意外と抜けている奴なのである
はぁ、まったく

不器用なやつ

その後、風雷はたい焼き(わさび味)を思い切りお爺さんの顔にぶつけ、そのまま乱闘になった
私の心配を返せと思いを乗せてドロップキックを二人にやったら一撃で気を失ってしまった
みんなの私を見る視線に恐怖があった気がする
気のせいだと思いたい
理不尽よーーーーーーー!!

あとがき
勝手にすずかをこんな扱いにしてすずかファンの人申し訳ない
どうか寛大な心でお許しを
次はまさしくそのすずか編にしようと思っています
ついでにすいません
西尾維新のネタをパクッテしまいました
作者のネタ不足故です


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