公開日:2011.05.02
負債総額が原則30億円以上の倒産企業および信用変動企業を掲載。
(株)セイクレスト | [大阪] マンション分譲・不動産流動化事業ほか |
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破産開始決定 / 負債総額 約22億円
~ジャスダック上場 4月1日以降、上場会社初~
TSR企業コード:57-097360-0
(株)セイクレスト(大阪市中央区備後町3-2-8、設立平成3年3月、資本金20億8401万円、青木勝稔社長、従業員62名)は5月2日、大阪地裁へ破産を申請し同日、は破産開始決定を受けた。破産管財人は塩野隆史弁護士(塩野隆史法律事務所、大阪市北区南森町1-3-27南森町ビル、電話06-6364-2705)。
負債総額は約22億円。
ジャスダック上場企業。新築マンションの企画・販売代理事業、住宅設備備品販売事業、不動産流動化事業を展開。マンション企画・販売代理業者として創業し、平成10年2月には旧:住宅都市整備公団より民間委託第1号物件となる「アミング潮江プラスト」の販売を、人材派遣型販売提携として受託し完売。その後も販売エリアを拡大し業績を拡大させ、平成13年12月に株式の店頭公開を果たした(後にジャスダック市場へ移行)。
以降、不動産市況の活況もあって順調に業容を拡大させ、住宅設備備品販売事業に加え、不動産流動化事業へも進出。ピークとなる19年3月期には年商47億9142万円を計上していた。
ところが、同年1月に当時の経営企画室課長がインサイダー取引容疑で逮捕される事態が発生。一般需要家及び取引関係筋が敏感に反応し、既存販売物件のキャンセルや新規販売を一時中断することとなり、サブプライムローン問題に端を発する不動産市況の悪化により予定していた物件の売却が先送りとなり、20年3月期の売上高は33億6544万円にまで低下し、4億7000万円の営業赤字を計上することとなった。続く21年3月期も不動産市況の更なる悪化やリーマン・ショックによる金融環境の悪化により不動産流動化事業での販売用不動産取得が大きな足かせとなり事業環境は悪化。期中に大型物件の販売を進めたことによって、売上高は43億682万円となり前期比増収を確保したが、棚卸資産評価損12億600万円の計上により11億9108万円の当期損失を計上し、債務超過に転落した。
その後も、不動産市況が改善しないなかで不動産流動化事業が大幅に縮小。企画・販売代理事業も前期比大幅減収となるなかで22年3月期の年商は3億3993万円にとどまり、3期連続の大幅欠損を計上することとなった。このため、この間に新中期経営計画を策定し、債務超過解消のための資本増強策を発表。3月25日には第三者割当増資で出資者が保有する不動産による現物出資20億円ほかで期末時点までに債務超過を解消し、上場廃止基準の猶予期間銘柄から解除され、ジャスダック市場の上場が維持されることとなった。
しかし、現物出資により取得した不動産の開発・販売をすすめていくほか、創業来の企画・販売代理業務へ注力することにより収益改善を見込んでいたが、今期に入って以降、資金調達難から新たな物件の仕入が出来ず、現物出資で取得した物件の販売も計画通りに進まない状態が続いていた。そうしたなか、4月11日には資金調達のため振出した約束手形についての見解の相違で監査法人が辞任。さらに4月28日には代表取締役を除く全役員が辞任する事態となり、また同日期日の約束手形の決済資金の目処が立たなくなり、事業継続を断念することとした。
セイクレストの業績推移(単位:千円)
決算期 売上高 当期利益
平成20年3月期 3,365,445 △707,289
平成21年3月期 4,306,823 △1,191,087
平成22年3月期 339,931 △608,316
禁・転載・複写
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