◇WBA世界バンタム級タイトルマッチ
第2章の始まりや−。WBA世界バンタム級王者亀田興毅(24)=亀田=が同級14位のダニエル・ディアス(27)=ニカラグア=に11回終了後、レフェリーストップのTKO勝ちで初防衛に成功した。地元大阪で初の世界戦で、世界戦6試合目にして初のKO勝ち。ディアスはあごの骨折の可能性があり、病院送りとなった。確実に進化を遂げている興毅だが、周囲からは試合内容への不満や、もっと強い相手との戦いを望む声も上がった。
完勝だ。興毅がディアスをスピードとパワーで圧倒した。8回に左フックでダウンを奪うと、11回にトドメ。左でグラリときた相手にパンチの雨あられ。血まみれのディアスは興毅にしがみついてダウンを逃れたが、もはやグロッギー。この回終了後、レフェリーが試合を止めた。
地元大阪での初の世界戦。マイクを取った興毅は「小さいころから大阪でタイトルマッチをやるのが夢やった。夢がかなってサイコー」と絶叫。さらに「東日本大震災の被災者が少しでも喜んでくれたらうれしい。会場内での募金協力よろしくお願いします」と被災地にエールを送った。
ディアス? WHO? 初防衛戦の相手にディアスが決まった時、誰もが首をひねった。1年以上も実戦から遠ざかっており、ランクは下位の14位。リスクを避けるマッチメークに疑問の声も上がった。しかし、不気味な相手でもあった。無名なだけに情報量が少ない。身長で8センチ、リーチで9センチのハンディ。18勝13KOと高いKO率。一発当たればどう転ぶか分からない怖さもあった。バンタム級2戦目。この階級でやっていけるか、自分を試す戦いでもあった。
まだ24歳。ピークは30歳に来ると思っている。見る者をワクワクさせるスーパーファイトの夢もある。
「去年12月の3階級制覇でおれの物語の第1章は終わった。これからは大勝負をしたい。亀田という選手がおったんやと、あとあと記憶に残るような試合をしたい」と話した。
WBC、WBO世界バンタム級王者の怪物ノニト・ドネア(28)=フィリピン=との統一戦を熱望したこともある。国内なら最強挑戦者と目され、日本バンタム級王者でWBA世界同級3位の山中慎介(帝拳)との一騎打ちも面白い。勝っても負けても、記憶に残る“作品”を残せるか。興毅物語の第2章が始まった。 (竹下陽二)
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