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【社会】

福島第一 タービン建屋に地下水か

2011年5月8日 朝刊

 福島第一原発の安定冷却作業を妨げている大量の放射能汚染水問題で、大地震の際にタービン建屋の地下壁にひびやずれが生じ、地下水が流入している可能性のあることが七日分かった。東京電力は汚染水を浄化し、冷却水として循環させることで収束させる方針だが、地下水が流入していれば、汚染水問題は続くことになる。

 濃度が最も高い2号機では、先月十九日から汚染水を集中廃棄物処理施設に移送する作業が続けられている。原子炉を冷やす注水が続いているとはいえ、注水量が毎時七トンなのに対し、移送量は毎時十トン。本来なら建屋内の汚染水は毎時三トンずつ減る計算になる。

 しかし、立て坑の水位は移送前に比べ八センチ下がったものの、タービン建屋内の水位は移送前の三・一メートルから全く変化がない。

 建屋内の水位が三・一メートルある3号機でも、立て坑の水位が上がってきており、東電は処理施設への移送を始める考えだが、処理施設の残容量は既に一万トンから六千トンに減った。2号機と優先度を注視しながらの作業を余儀なくされる。

 3号機からの汚染水流入で、低濃度とされた4号機の二万トンも要処理水となったほか、安定冷却中の5、6号機でも水位が上昇中で配電盤が水没しないよう注意が必要だ。

 現在のところ、東電は、建屋内のひびや亀裂などの有無は調査できていない。ただ、本紙の取材に東電幹部は「地震により、建屋内のひびが広がったり、新たに亀裂が生じたりして地下水が建屋内に流入している可能性がある。タービン建屋の耐震強度は、原子炉建屋ほどは高くない」と述べた。

 1〜4号機の汚染水は推計八万七千五百トンある。東電は六月ごろまでに、2号機から移送した汚染水の浄化装置の稼働を目指す。事故収束に向け、重要な転機になると期待しているが、地下水の流入を止めるという新たな課題が浮上した。

 

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