管直人首相が中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の原子炉運転を全面停止するよう要請したことについて、東京電力柏崎刈羽原発を抱える柏崎市や刈羽村などでは、歓迎や戸惑いの声が上がった。【宮地佳那子、小林多美子】
泉田裕彦知事は「なぜ浜岡原発だけなのか、今回の判断にどう至ったのか、という説明が(政府から)十分になされていない。地震の確率が高いというだけでは説明し切れない」と話し、政府の対応を批判。責任ある説明を求めるとした。
柏崎市の会田洋市長は「福島第1原発の事故以来、運転中の原発をどうするかは立地自治体の共通の課題」と指摘したうえで、「なぜ浜岡原発なのか、他の原発はどうなのか、よく説明を聞かなくては影響についてはなんとも言えない」と話した。
刈羽村の品田宏夫村長は「これは『要請』ではなく『命令』。どういう根拠で停止と判断したのか、規制機関の国ははっきり示してほしい。国が訳の分からない行動を起こすと、原発を抱える他の自治体は不安になり混乱する」と訴えた。
また、原発推進派の柏崎市議、丸山敏彦さん(74)は「危険性は分かるが、予告も説明もない唐突な発表で面食らっている。現在の生活レベルや産業構造を維持していくとなると、電気エネルギーを支えていく別の手段が必要になる。全基停止の前に、国はまず電力政策の説明が必要ではないか」と主張した。
一方、反原発団体のメンバー、武本和幸さん(61)=刈羽村=は「浜岡原発は東海地震の震源域にあるとされ、東日本大震災前から危険性が指摘されていた。停止要請は遅いが、東海地震前に要請した点は評価できる」と歓迎。「柏崎刈羽原発は中越沖地震(07年7月)で傷だらけになったが運転を再開した。浜岡原発にならって停止するよう要請していきたい」と語った。
柏崎刈羽原発では現在、中越沖地震を受けて停止した全7基のうち4基が運転を再開。先月13日、東電の清水正孝社長が点検中の3号機の年内運転再開について言及している。
毎日新聞 2011年5月8日 地方版