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静岡・浜岡原発:停止要請 電力各社、波及警戒 東電、夏の需給にも影響

 中部電力の浜岡原発の全基停止を求めた菅直人政権は「停止は地震の発生確率が突出した浜岡だけ」(経済産業省幹部)と強調する。しかし、他の原発も老朽化や活断層など問題を抱える。このため、各電力会社は、地元の反対などで定期検査中の原発の再稼働が難しくなるなど「浜岡停止」の余波を警戒している。また、浜岡原発停止は東日本大震災後、供給不足にある東京電力の夏の電力需給対策にも影響を与えそうだ。【山本明彦、立山清也】

 「東電への夏の電力融通は厳しくなるかもしれない」。政府の浜岡停止方針を受け、中部電幹部は6日夜、こう漏らした。東電は今夏に向け、供給力を5500万キロワットまで上積みする考えだが、このうち最大40万キロワットは中部電からの融通分と見られる。ところが、浜岡停止で中部電も夏の電力需給が逼迫(ひっぱく)しそうで、融通が受けられなくなる事態も想定される。

 さらに、東電には、海江田万里経産相が「東北電力に支援を」と要請。最悪の場合、東電は中部電からの電力融通が受けられない一方、東北電には融通するという厳しい状況に立たされる。

 一方、浜岡停止ショックは、定期検査などで停止中の他の原発の再稼働にも影響を及ぼしそうだ。商業炉54基のうち、今月7日時点で22基が運転中。しかし、7日には、日本原子力発電が1次冷却水の放射性物質濃度が上昇している敦賀2号機(福井県敦賀市)の停止作業に入った。13カ月ごとの定検で年内には10基以上が停止する見通しだ。

 一方で、東電福島第1原発事故で自治体の不安が強まり、定検中の原発の再稼働は遅れそうだ。10基以上が立地する福井県の西川一誠知事は、原発の安全対策について「部分的な対応では県民の理解を得られない」と再稼働に厳しい姿勢を示す。国内の商業炉の設備容量は計4884・7万キロワットと、発電設備全体の約17%を占めるが、定検中の原発の再稼働が遅れれば、全国の原発の8割超が一時的に停止しかねない。

毎日新聞 2011年5月8日 東京朝刊

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