立ち上がりは清水のペースだったが、一瞬のスキを突いて先制。昨年のグランパスならば、2点目を取るなどして勝ちきっていた。この日の清水を見ていると、それが可能だったと思う。勝ち点「3」をとっておきたかった試合だった。
主力に故障者が多く、中2日の連戦。悪条件が重なった上に、楢崎のまさかのミスがあった。しかし、そんな状況でも突き放せる力を持っているかどうかが、優勝できるチームとそうでないチームとの差。特にこの日は、途中出場のメンバーについて触れておきたい。たとえば吉田に代わって後半22分からピッチに立った橋本。相手が疲れていることを考えれば、ドリブルで相手陣深くまでいく前にセンタリングするなど、状況に応じたプレーをすることで得点チャンスが生まれる。
久場もサイドに張ってばかりでなかなかボールに触れることがなかった。基本的なポジションがサイドでも、中へ走り込んでパスを受けるような動きが相手を惑わすきっかけになる。スピードが特長ならば、それが生きるような局面を自らつくりだしていく工夫が必要だ。その点、永井や吉田にはルーキーながらそれが見える。
経験が少ないから、出場時間が短いから仕方がない、という考えでは、故障者が戻ってきたらまたベンチ外へと押し出される。何よりも、だれが出ても質的に変わらないプレーをすることが、連覇へのカギになる。 (愛知東邦大監督、元グランパスDF・藤川久孝)
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