生の牛肉を使ったユッケの本場・韓国では、国民的な人気メニューであるユッケを提供する店を対象に毎年、抜き打ち検査を行うなど、衛生管理を徹底するための対策がとられています。
韓国でユッケは、おいしくて健康にもよい料理として、子どもからお年寄りまで幅広い人気があり、ソウル市中心部の市場の一角にある、通称「ユッケ通り」には、立ち並ぶ専門店に大勢の客が訪れます。日本人観光客も足を運ぶ店の1つでは、果物のナシをまぶして卵の黄身を落としたユッケが、毎日、数百皿出るといいます。この店の経営者によりますと、生の牛肉が入荷すると、殺菌のためにも、にんにくとゴマ油を混ぜて1~2時間、冷蔵庫で熟成したうえで客に出しており、肉はその日のうちに売り切ってしまうということです。日本で起きた食中毒について、客の間からは「40年以上食べているが、韓国ではありえないことだ」といった声が聞かれました。一方、韓国政府は、ユッケを提供する店を対象に毎年全国で抜き打ち検査を実施しており、去年は、1400余りの店舗のうち16の店で、生の牛肉から大腸菌が検出され、業務停止処分などを命じました。また、食肉を加工したり出荷したりする業者にも、処理の手順を定めた規則が厳しく適用されているということで、韓国の食品医薬品安全庁は、韓国国内でユッケを食べたことによる集団食中毒の報告は、これまでに一度も受けていないとしています。