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燃料調達できても…浜岡原発停止のコスト、中部電に重荷

2011年5月7日11時29分

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 菅直人首相から原発の全面停止を突然言い渡された中部電力。浜岡原発1号機の着工以来約40年、原子力政策を二人三脚で進めた国の方針には背けない。だが、停止までに解決しなければならない課題は多い。

 「東北電力も東京電力も原発が止まって火力で代替する。(液化天然ガス〈LNG〉などの)燃料確保は非常に厳しい」。今月5日、中部電の水野明久社長はそう話していた。

 浜岡全3基の代替に、中部電も火力発電所の出力増強や停止中の古い火力を動かすことになる。ただ、中国などアジア各国の石油需要は高まるばかり。「LNGなどの調達は長期契約が基本で、すぐに買い付けられるものではない」(中部電幹部)。燃料の確保がまずは大きな問題として立ちはだかる。

 燃料が確保できても、価格高騰で中部電の経営を圧迫するのは確実だ。原発3基を止めて生じる負担は1日に7億円。半年続けると、今年度の営業利益見込みにあたる1300億円がほぼ吹き飛ぶ。

 国側は「中部電が原発停止を決めても、あくまで自主判断」との認識を示す。お金のかかる火力への切り替えは、中部電にとっては「株主に説明できず、経営陣が訴えられる可能性もある」(幹部)との危機感がある。株主へ説明責任も問われている。

 経営悪化を避けるため、中部電が燃料費や設備投資の増加分を、電気料金に反映させる可能性もある。値上げは電気事業法で認められてはいるが、浜岡原発は「安全」と主張してきただけに、急な方向転換は説明が難しく、地元や電気を使う企業、家庭からの反発もありそうだ。

 さらに、原発全基停止は中部電だけの問題でなくなる。

 中部電は余った電力を東京電力に分け与えている。その余裕が減るのを見越し、海江田万里経済産業相は関西電力に中部電への供給を要請。電力がところてんを押すように関電→中部電→東電へと流れる仕組みを検討中だ。ただ、関電も定期検査中の原発があり、中部電にどれだけ協力できるかは不透明だ。(大月規義)

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