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生肉食中毒:石川県のチェーン店従業員からO111検出

 焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、店を経営する「フーズ・フォーラス」社(金沢市)の委託を受けた民間の検査会社が全店の従業員を検便検査したところ、石川県内の店の男性社員から病原性大腸菌O111が検出されたことが7日、同社などへの取材で分かった。届け出を受けた金沢市保健所は「多数の被害者が出た場合は営業停止処分もある」として慎重に調べている。

 フーズ社によると、検査は同社が独自に民間の臨床検査会社に委託し、富山、石川、福井、神奈川4県の全店(20店舗)を無期限営業停止とした4月29日から行った。対象は、食中毒が発生して保健所の検査が行われた店を除く従業員で、結果は今月6日に同社に報告された。

 O111が検出されたのは「小松店」(石川県小松市)に勤務する20代の男性社員。4月22日から25日ごろにかけ、同社チェーン店の「金沢高柳店」(金沢市)や小松店を客として友人と訪れ、一連の食中毒の原因食品と疑われているユッケも食べた。しかしその後、下痢などを起こした。軽症だった。

 6日に同社から届け出を受けた金沢市保健所は、「ベロ毒素を作らず、感染しても重症化しないタイプで、一連の患者数には含まれないのではないか。だが、飲食店としては望ましくない」としている。一方、厚生労働省は「O111は通常、毒素を作る。毒素が検出されなかっただけではないか。チェーン店で食事しO111感染の症状を示したものは、発症者としてカウントしている」という。フーズ社は2年間、店で提供する肉の細菌検査をしていなかったことも分かっており、改めて衛生管理のずさんさが浮き彫りになった。

 富山県の調査では、3人が死亡した富山県砺波(となみ)市の「砺波店」で勤務時間外にユッケを食べ、下痢の症状を訴えた従業員1人がO111を保菌していたことが分かっている。

 一方、警察当局は7日、富山、福井両県警に警視庁、神奈川県警を加えた合同捜査本部を設置。一両日中にも、チェーン店の富山山室店(富山市)に業務上過失致死容疑で家宅捜索に入る方針を固めた。【宮本翔平、大森治幸】

毎日新聞 2011年5月7日 15時00分(最終更新 5月7日 15時04分)

 

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