2011年5月7日14時59分
焼き肉チェーン「焼肉酒家(さかや)えびす」の集団食中毒事件で、チェーンを運営する「フーズ・フォーラス」(本社・金沢市)が、食肉卸業者「大和屋商店」(東京都板橋区)と肉の仕入れ契約を結ぶ直前、大和屋側から「ユッケ用のサンプル」を送付する趣旨のメールを受け取っていたことがわかった。富山、福井両県警の合同捜査本部は6日、このメールが交わされたとみられるパソコンを押収した。
集団食中毒の原因と疑われているユッケ用の肉について、大和屋側は捜査本部の聴取に対し「生食用ではない」と説明しており、捜査本部はメールから約2カ月後の仕入れ契約成立までの間に、双方でどのようなやりとりがあったのかを詳しく調べる。
メールは2009年5月20日付。大和屋側から、フーズ社の仕入れ担当者あてに届いた。「国産牛 和牛経産モモ赤身100%(スジ無) ユッケ用のサンプルが出来ました」と記されており、翌日、金沢市の同チェーン増泉店に到着するとされていた。
「経産」とは出産を繰り返した繁殖用のメス牛。フーズ社幹部はメールについて「新規契約を結ぶにあたって、ユッケ用にと提案を受けた。どんな肉かサンプルを送ってもらい確認した」と説明する。
フーズ社はこの2カ月後、ユッケに使用していた肉の仕入れ契約を大和屋商店と結んだ。大和屋側からは、出荷前には2度にわたりアルコール消毒しているとの説明を受けたという。肉は大和屋商店から各店舗に直送される仕組みで、各店舗で肉を刻み、ユッケとして客に提供していた。
一方、大和屋商店の幹部は6日、業務上過失致死傷容疑で捜査している合同捜査本部の事情聴取に対し、フーズ社に納入していた肉が生食用ではなく、加熱用だったと説明したという。東京都などの聞き取りにも、あくまで加熱用として出荷していたと答えているという。